江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

一ツ目橋

2011-01-29 | まち歩き

本所(東京都墨田区)を東西に流れる竪川に架かる橋で、隅田川から入って最初の橋なので一ツ目橋(現在の呼称は一之橋)です。どこにでも在るただの橋ですが、赤穂浪士が吉良邸討ち入りの後、泉岳寺への引き揚げの際に渡った橋であり、そういう見方をすれば歴史的には価値のある橋です。隅田川に沿って本所と深川を結ぶ通り(現在の一の橋通り)に在る橋なので、江戸の昔には人々の往来は多かったと想像され、

  • 藤沢周平著「夜鷹斬り」(用心棒日月抄に収録、新潮社)
  • 藤沢周平著「返り花」(春秋の檻 獄医立花登手控え(一)に収録、講談社)
  • 池波正太郎著「鰻坊主」(剣客商売(四)に収録、新潮社)
  • 池波正太郎著「本所・桜屋敷」(鬼平犯科帳(一)に収録、文藝春秋)

等の多くの時代小説に頻繁に登場します。


一ツ目橋北詰 東京都墨田区両国2-2-1

JR両国駅から約600m 徒歩約8分

都営新宿線・大江戸線 森下駅から約900m 徒歩約12分


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現在の竪川の上空には首都高速7号線(小松川線)が走っています。


外ヶ輪

2011-01-22 | まち歩き

新発田藩編その3です。


新発田城の二の丸を囲う外掘(現在は埋め立てられ消失している)よりも外側の地域のうち、北側と東側の地域を外ヶ輪(とがわ)といいます。家中屋敷があった地域とされ、赤穂浪士の一人、堀部安兵衛の生家もこの外ヶ輪に在りました。

池波正太郎著「ないしょないしょ」(剣客商売番外編、新潮社)で主人公のお福の奉公先の主人、神谷弥十郎が斬られ、息絶えたのが外ヶ輪裏です。

住所上の外ヶ輪という地名は現在ではありませんが、外ヶ輪小学校や外ヶ輪公園にかつての地名を見出すことが出来ます。ちなみに外ヶ輪小学校の生徒は卒業すると本丸中学校に進学します。どちらの校名も城下町らしい素敵な名前です。


外ヶ輪小学校 新潟県新発田市中央町5-8-9

JR新発田駅から約1.4km 徒歩約18分


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周円寺

2011-01-15 | まち歩き

前回に引き続き、新発田藩編その2をお送り致します。


周円寺は池波正太郎著「ないしょないしょ」(剣客商売番外編、新潮社)に登場するお寺で、新発田城の南、四ノ町(現在の新発田市御幸町)に在るお寺です。小説では主人公お福が奉公していた神谷弥十郎の道場がこのお寺の裏側に在り、更には斬られて命を落とした神谷弥十郎の亡骸がこのお寺に葬られたということになっています。

新発田駅方面から三ノ町を通って歩いて来ると、突き当たりの細い道の奥にこのお寺の大屋根が見えます。


周円寺 新潟県新発田市御幸町3-1-2

JR新発田駅から約1.3km 徒歩約17分


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新発田藩

2011-01-08 | まち歩き

今回は江戸を離れ、番外編でお送り致します。


越後新発田藩五万石は現在の新潟県新発田市を中心とした地域を治めていた藩です。溝口秀勝を初代藩主とし、歴代の十二代の藩主が廃藩置県に至るまでの二百七十三年間、この地を治めました。元禄赤穂事件(いわゆる忠臣蔵)の赤穂浪士の一人、堀部安兵衛の出身地としても知られています。田舎の小藩ですが、城やお堀、神社や仏閣、法や人々の習慣、学問や芸術、食や祭といった、城下町としての文化一式が揃っており、今尚、江戸の頃の道や水路があまり姿を変えずに残っているところが多くあります。


池波正太郎先生のような大作家が新発田藩のような小藩を取り上げるのは少々意外ではありますが、池波作品には幾つかの作品で新発田のことが登場します。

  • 堀部安兵衛(上)(下)(新潮社)
  • ないしょないしょ(剣客商売番外編、新潮社)
  • 「剣の誓約」「まゆ墨の金ちゃん」(いずれも剣客商売(一)に収録、新潮社)
  • 「妖怪・小雨坊」(剣客商売(二)に収録、新潮社)

また、新発田藩そのものを取り上げた作品として、乙川優三郎著「露の玉垣」(新潮社)があります。


新発田城 新潟県新発田市大手町6-4

JR新発田駅から約1.6km 徒歩約20分 (バス・タクシーの利用も可、駐車場有り)


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正木稲荷

2011-01-03 | まち歩き

萬年橋の北側、小名木川と大川(現在の隅田川)とが成す角地に建つお稲荷さまで、腫物に効く「おできの神様」です。

池波正太郎著「深川十万坪」(剣客商売(三)に収録、新潮社)に登場の“万年橋の柾木稲荷の船着き”のお稲荷様で、「大江戸ゆばり組」(剣客商売(七))、「女と男」(剣客商売(八))にも登場します。又、名前こそ出てきませんが、藤沢周平著「約束」(橋ものがたりに収録、新潮社)に登場する“大川と小名木川が作っている河岸の角に建つ、稲荷社”は正木稲荷のことだと思われます。

(注:小説では“柾木稲荷”と表記されていますが、現地の表記に合わせ、ここでは“正木稲荷”と表記しました。)


正木稲荷(柾木稲荷)が登場するその他の作品

  • 坂岡真著「のど傷の女」(のうらく侍に収録、祥伝社)

正木稲荷 東京都江東区常盤1-1-2

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅から約650m 徒歩約8分

都営新宿線 森下駅から約650m 徒歩約8分 


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