ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

ザ・チェーン 連鎖誘拐

2020年10月17日 | 本を読んだで

エイドリアン・マッキンティ  鈴木恵訳          早川書房

「お前の娘を誘拐した。助けて欲しくばよその娘を誘拐しろ」レイチェルの13歳の娘カイリーが誘拐された。離婚してシングルマザーのレイチェルにとってカイリーは生きがい。娘を助けるためダンリービィ家の子供に狙いをつける。被害者に加害者になることを強要する。こうして誘拐の連鎖=チェーンはつながっていく。子を想う親の心情を利用した、まさに悪魔の所業としかいいようがない。犯人は自分自身は誘拐を実行しない、被害者を脅し、ときには殺し「チェーン」の維持運営に腐心する。
 レイチェルは元夫の兄ピートを相棒にして「チェーン」に戦いを挑む。主人公レイチェルはめげない強い女で、絶対にへこたれない。めげない。なんとしてでも娘を取り戻すぞと固い決意。ピートは元海兵隊。ではあるがランボーやコマンドーのように大暴れはしない。麻薬患者で禁断症状になやまされながらカイリー救出にために活動する。
 この巨大な悪意のかたまりのようなシステムを作った人は、なんとびっくりのあの人だ。ピートじゃないよ。