ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

記憶にございません!

2020年06月08日 | 映画みたで

監督 三谷幸喜
出演 中井貴一、ディーン・フジオカ、小池栄子、石田ゆり子、草刈正雄

 三谷幸喜の最新作だが、最高傑作ではけっしてない。三谷も老いたのではないか。ドラマに疾走感がなく、もたついた印象が残った。記憶喪失した男が総理であったというアイデアは面白いが、そのアイデアを生かしていない。
 黒田啓介は病院のベッドで目覚める。どうも頭に石をぶつけられて記憶喪失になったらしい。自分がだれでここはどこか何も判らない。黒田は自分がこの国の首相であることが判る。この秘密を知るのは3人の秘書官だけ。黒田は支持率2.3パーセントという憲政史上最悪の首相であった。
 と、いう話だが、黒田首相の内面にスポットを当て、どうも、黒田自身が記憶喪失を契機に心を入れ替えて、良い首相になってやろうと努力しはじめる。こういう話ではなく、記憶喪失でなんも判らん男をを周りがよってたかって、曲がりなりにも首相を務めさせるドタバタを描いた方が、いかもに三谷喜劇だと思うのだが。
 ところどころに、某国の某首相をほうふつとさせるシーンや、某首相夫人を皮肉っている所もあったりして笑わせられるが、これらはくすぐりで笑わせられるだけでお話がおかしくって笑うのではない。