『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

いわき市平の大国魂神社の大スギ

2007年03月19日 | 歴史
いわき市平菅波に鎮座する大国魂(おおくにたま)神社は、
延長5(927)年までに編纂された『延喜式』に記載のある、
いわゆる「式内社」だ。
いわき市内でも指折りの古社ということになる。

本殿へ登る急な階段の手前に、スギの巨木がそびえている。
この木を間近に見るたび、私は自分の体の中に新たな力、
そう、生きていくのに必要な力が注ぎ込まれるのを感じる。
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いわき市暮らしの伝承郷 その10

2007年03月18日 | 歴史
 いわき市暮らしの伝承郷の民家ゾーンで、
一番初めに私たちを迎えてくれるのは、
旧川口家住宅(いわき市指定有形文化財)だ。
この茅葺き家屋はかつて、
いわき市内郷御厩町の宿場町に建っていたもので、
建造されたのは今から100年以上前の明治時代の初期といわれている。

 この家では代々、醤油の醸造を生業としていたため、
その作業のために使われた土間がとても広く、
その一部には「通り露地」といわれ部分があり、特徴となっている。
また、軒先が「せがい造り」という工法で造られているのも特徴的だ。

暗褐色に煤けた柱や梁などは、とにかく太く、どっしりとしていて、
圧倒的な威圧感をもってこちらに迫ってくる。
また、この家の庭先では、季節になると、
白色の侘び助(わびすけ)がどこまでも清楚で、凛とした花を付ける。
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いわき市暮らしの伝承郷 その9

2007年03月17日 | 歴史
いわき市暮らしの伝承郷に移築、復元された茅葺き民家の室内には、
囲炉裏がある。

この囲炉裏だが、かつては、座る人の位置が決まっていた。
写真の右奥の座が「横座」といわれ、
その家の主人が座るところとされ、
手前の方にお客さんが座り、
写真の左奥が、「かか座」といわれ、
その家の奥さんが座る場所だった。
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いわき市暮らしの伝承郷 その8

2007年03月16日 | 歴史
旧高木家住宅(いわき市指定有形文化財)は、
いわき市の常磐湯本から遠野に向う
街道沿いの宿場・田場坂宿に建っていたもので、
それがいわき市暮らしの伝承郷に移築、復元された。

高木家では代々、醤油の醸造業を営んでいた。
移築・解体作業の際、
柱に嘉永3年(1850)に建てられた旨の墨書が見つかり、
この家屋が今から150年以上も前に建てられたものであることがわかった。

また、この家は床高が極めて高く造られているのが特徴だ。
さらに、踏ん込み囲炉裏(いろり)や干棚(ひだな)などもあり、
それらもこの住宅の特徴になっている。
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いわき市暮らしの伝承郷 その7

2007年03月15日 | 歴史
いわき市暮らしの伝承郷の
旧芳賀家住宅の庭先で目にしたヤブツバキの花。
私の心は奥底まで、一瞬のうちに、
その淡い紅色に染め上げられてしまった。

ミツマタの淡い黄色、
そして、ヤブツバキの淡い紅色・・・、
いわき市暮らしの伝承郷はやさしく、ゆかしい彩りに溢れている。
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いわき市暮らしの伝承郷 その6

2007年03月14日 | 歴史
旧芳賀家住宅(いわき市指定有形文化財)は、
いわき市田人地区からいわき市暮らしの伝承郷に移築された。

土間に入ると目に飛び込んでくる太い「大黒柱」と「恵比寿柱」が、
この住宅の特徴となっている。
また、「土間」が広いことにも気が付く。
「土間」では、かつて、脱穀(だっこく)や籾摺り(もみすり)、
米搗き(こめつき)、麦搗き(むぎつき)などの農作業、
さらには藁綯い(わらない)などの夜なべ仕事も行われた。
また、農具や貯蔵具を置く場所としても使われたという。

こうして見ると、かつての民家は、
家族が寝食などの日常の生活をする場であると同時に、
農作業の場としても使われていたのだ。

 旧芳賀家住宅近くの山の斜面には、見事なヤマボウシの木がある。
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いわき市暮らしの伝承郷 その5

2007年03月13日 | 歴史
いわき市暮らしの伝承郷に移築された旧猪狩家住宅の庭先には、
自然石の大きな詩碑が建っている。
その詩碑のおもてには、この家で生まれ、
育った詩人、猪狩満直(1898~1938)の「帰郷」という詩が刻まれている。

帰郷
           猪狩満直
久しぶりでまたふるさとの土を踏んだ
門口で畑をながめた
畑には僕がたんねんに手をつくしたトマトは
もう影も形もなくなっていた
芋の葉っぱが
プラプラ秋風にゆれていた。

家の中には誰もいなかった
広いガランポの座敷は埃にまみれ
食台、画架、椅子、夜具、本、新聞などが
雑然と
僕はカラマゾフ兄弟の家にでも足を踏みこんだような気がした。

秋陽に柿の実が赤く照っていた
七年ぶりでのふるさとの秋
――柿とはこんなにうまいものであったか。

柿の木のてっぺんにのぼって
柿を嚙っていたら幼い頃がなつかしく憶い出された
柿の木のてっぺんには幼い頃の青い空があった。



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いわき市暮らしの伝承郷 その4

2007年03月12日 | 歴史
いわき市暮らしの伝承郷に移築、復元された民家のひとつ、
旧猪狩家住宅(いわき市指定有形文化財)は、
明治時代の初め(明治12年2月に建前が行われた)に造られたもので、
いわき市好間町川中子(よしままちかわなご)に建っていたものだ。

広間の梁には幾重にも縄が結ばれている。
これは「年縄」といわれ、
新年を迎えるごとに1本ずつの縄が結ばれてきたのだという。

江戸時代から明治時代にかけ、
好間町川中子など、いわき市の夏井川流域などでは、
菜種油を取るため、菜の花の栽培が盛んに行われていた。
明治時代の中頃、
大須賀筠軒(1841~1912)によって記された『磐城物産志』には、
その様子が次のように書かれている。

我郷、川中子、愛谷、赤井、西小川、好間、大越、藤間の諸村、
之を種へさるなし。就中、川中子、愛谷両村の産種を良とす。
培養法は八月下旬頃、種を下し、薄肥を施す。畦間は三尺許なり。
培鋤は十一月初旬、十二月初旬、二月中旬に一回つヽとす。
三月下旬には黄花を開き、四月下旬に實を結ひ、
五月中旬に及ひ刈穫し、颺扇を運用し、其種と殻とを分ち、貯ふ。
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いわき市暮らしの伝承郷 その3

2007年03月11日 | 歴史
いわき市暮らしの伝承郷には、「お人形様」が展示されている。

大きさは2メートル強、杉や竹で人形の骨格を作り、
それに藁で肉付けをし、さらにその上から杉の葉で体全体を覆い、
最後に、厳(いかめしい)しい形相の目鼻を紙に描き、
それを顔面に張り付ける。

この「お人形様」は伝染病などの災いが集落に入ってこないように、
集落の入り口に当たる道の傍らなどに立てられていたという。
また、各家の門口などにも
小さな「お人形様」が立てられることがあったともいう。

「お人形様」を建てるという習いは現在、
いわき市内ではほとんど見られなくなってしまったが、
遠野町入遠野地区などで、ほんのわずかに残されている。

もう随分前のことになるが、
遠野町入遠野の東山地区に
「お人形様」の調査のために伺ったことがあった。
「お人形様」の製作が無事終了した後、うどんを御馳走になった。
うどんはその家のお祖母さんの手作りで、
前日から用意し、生地を一晩寝かせ、
茹で上げたばかりのものだった。
「このあたりでは、これが一番の御馳走だよ」
と、ジュウネン(エゴマ)のたれで、
風味豊かなうどんを食べさせてもらった。
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いわき市暮らしの伝承郷 その2

2007年03月10日 | 歴史
暮らしの伝承郷に移築、復元された民家の一つ、
旧樋口家住宅(いわき市指定有形文化財)は、
江戸時代後期に建築された茅葺き民家で、
暮らしの伝承郷の民家のなかでは最も古い時代のものだ。

旧樋口家住宅は、いわき市内の遠野町入遠野から移築されたもので、
樋口家ではかつて養蚕や和紙作りを盛んに行っていた。

この民家の土間には、「かまど柱」と呼ばれる柱がある。
この柱は「かか隠し」「嫁隠し」などとも呼ばれる。
しかし、土間に柱があると、土間での作業の邪魔になるため、
時代が下がるに従い、姿を消した。

旧樋口家住宅の庭先には、赤と白の梅が対に植えられている。
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