『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

陰暦1月12日 市神祭り  白麻や達磨が縁起物

2008年12月15日 | 伝説
天保12(1841)年に、いわきの地に生まれ、
大正元(1912)年に没した
大須賀筠軒(おおすが いんけん)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
今回もまた、紐解くこととする。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦1月12日の項には、
次のような記述がある。

十二日 市神祭々主ハ高月不動院ナリ。
是祭礼ノ為メニ
神祠ヲ大晦日ヨリ二甼目ノ中央ニ持出シ置キ、
祭終レバ、本地ヘ安置スルヲ例トス。
是日、童子社邉ニ白麻ヲ賣ル。
又、左右ノ店頭ニハ多ク不倒翁(ダルマ)ヲ賣ル。
參詣人ハ必ズ之ヲ買フコトナリ。
毎月ノ市、平城下ハ、二、八ノ日、
小名濱ハ四、九ノ日、
四倉ハ二、六ノ日ニテ、共六齋ナリ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思う。

陰暦1月12日 市神祭りが行われる。
市神祭りの祭主は平、高月にある不動院である。
この日の祭りのために、
大晦日のうちに神様を城下の2町目に移しておく。
そして、祭りが終れば、元の場所へ戻す。
市神祭りの日には、
童子町の神社の辺りで白麻が売られる。
また、町通りには露店が出、達磨を売る。
参詣に訪れた人々はこれらの縁起物を必ず買い求める。
ところで、定例の市は
、平では2、8、12、18、22、28日、
小名浜では4、9、14、19、24、29日、
四倉では2、6、12、16、22、26日と、
日にちが定まっており、
いずれも六斉市(ひと月に6回開催される市)である。
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