『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

芋田楽の祭り  平・塩の虚空蔵尊

2007年03月29日 | 歴史
大須賀筠軒(おおすがいんけん 1841年~1912年)が
明治25年(1892)頃に書き記した『磐城誌料歳時民俗記』に、
次のような記述がある。旧暦3月13日に行われる、
いわき市平(たいら)塩(しお)の虚空蔵尊(こくぞうそん)の祭りについての
記述である。

十三日 城東十三甼許、塩ノ村虚空像、
縁日ニテ昨夜ヨリ參詣アリ。太ダ賑カナリ。
商人小屋ガケニテ、多ク里芋ヲ串ニ貫キ、味噌ヲ塗リ、焼キタルヲ賣ル。
故ニ、芋田楽ノ祭リトイヘバ、此ノ縁日ノ事ナルヲ知ルトゾ。
虚空藏ハ運慶ノ作ニテ、白土将監隆信ノ護持佛ナリ。

これを現代的な表現に改めると、次のようになるかと思う。

旧暦の3月13日、この日は磐城平城の東、
1.3キロメートルほどの所にある平塩ノ村の虚空蔵尊の縁日だ。
宵祭りに当たる前夜から多くの参詣人が訪れ、大変な賑わいを見せる。
商人たちは仮設の小屋を作り、そこで、里芋を串に刺し、
味噌を塗りつけ、焼いたものを売る。
そのため、虚空蔵尊の祭りは「芋田楽の祭り」とも呼ばれている。
御本尊の虚空蔵尊は運慶の作で、白土将監隆信の護持仏である。
コメント
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