『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

陰暦12月1日  かはひだり

2008年02月29日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととする。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦12月1日の項には、
次のような記述がある。

朔日 かはひだり、或ハかはツぱいり。
安達、信夫邉ニテハ、おつぱらい朔日トイフ。
朔日トテ、餅ヲ搗キ祝フ。
かはびたりトイフ事、未ダ考ヘズ。
日本歳時記ニハ、乙子朔日トイフトアリ。
乙子ハ末子ノ事ナリ。
磐城方言ニ、よてぼう、或ハかごはらひトイフ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦12月1日を「かわひだり」、
あるいは、「かわっぱいり」と言ったりもする。
福島県の安達や信夫地域では、
この日のことを「おっぱらい朔日」と言う。
月の初めということで、餅を搗き、お祝いをする。
「かわびたり」ということが何なのか、私は考えたことがない。
江戸時代に書かれた『日本歳時記』には
「乙子朔日」ということが書かれている。
「乙子」というのは「末子」のことだ。
いわき地域の方言では、
「末子」のことを「よてぼう」「かごはらひ」と言う。
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陰暦11月 機織り

2008年02月27日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととする。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月の項には、
次のような記述がある。

是月ハ農事ノ収納モ漸ク畢リ、麦蒔モ済ミタレバ、
女子ハ木綿ヲトリ、絲ニナシ、機ヲ織ル。
女子、農間ハ何時モ絲機ノ勵ミ専ラニテ、
六齊木綿トテ一人ニテ毎市ニ木綿一反ヲ織立、
之ヲ賣ル者モ希ニアリ。
是ハ夜ヲ日ニ嗣テ、其勵(ハゲ)ミ容易ナラズトイフ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦11月 稲の収穫が終わり、麦の種まきが済めば、
女性たちは木綿の収穫をし、それを糸にし、布を織る。
女性たちは農閑期には機織に精を出し、
朝から晩まで機織に励み、
なかには月に6回開催される六斎市のたび毎に
1反の布を売りに出す人もいる。
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陰暦11月28日 御講

2008年02月22日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月28日の項には、
次のような記述があります。

廿八日 一向宗親鸞ノ忌日ナルヲ以テ會式ヲ設ク。之ヲ御講トイフ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦11月28日 一向宗では、
この日が親鸞の忌日に当たるため、会式を行う。
これを「御講」という。
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陰暦11月27日 三島村三島明神祭礼

2008年02月18日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月27日の項には、
次のような記述があります。

廿七日 城北二里餘、三島村三島明神ノ例祭ナリ。弘長年中、伊豆三島ノ神ヲ勧請スル所ナリ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦11月27日 磐城平城の北の方角8キロートルのところに、
三島村三島明神が鎮座しているが、この日、例祭が行われる。
この三島明神は鎌倉時代の弘長年中(1261~1264)に、
伊豆の三島の神を勧請したものである。
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陰暦11月24日 大師講

2008年02月15日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月15日の項には、
次のような記述があります。

廿四日 天台宗智者大師ノ忌日ナルヲ以テ法會ヲ設ク。之ヲ大師講トイフ。赤豆粥ヘ團子ヲイレ、烹ルナリ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦11月24日 この日は天台宗、智者大師の命日に当たるため、法会が行われる。これを大師講といい、赤豆のお粥に団子を入れて煮、食べる。
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陰暦11月15日 子間引き

2008年02月12日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月15日の項には、
次のような記述があります。

十五日 至極残忍ナル悪習ノ其間ニ行ハルヽモノアリ。
子間引、是ナリ。
子間引トハ、産子三人以上ニ及ベバ、
父母手ヅカラ之ヲ殺シテ、育セザルヲイフ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦11月15日 今なお、残忍な風習が続けられている。
子どもの間引きである。
これは、子どもの数が3人以上になると、
父母が自らの手で子を殺し、育てないことである。

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陰暦11月15日 子の健やかな成長を祝う

2008年02月07日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月15日の項には、
子育てに関して、次のような記述があります。


十五日 因ニ録ス。親ノ子ヲ育スルヤ、
三月、五月ノ初節供ヨリ、こだち參、もながし祝、
髪置、袴着、紐解等、子供ノ為メニ生長ヲ祝フ。
恩愛ノ切ナル是ノ如シ。
是誠ニ一般ノ親心ナルベシ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦11月15日 子育てのなかで、
親は3月の桃の節句や5月の端午の節句などの初節句を祝ったり、
子だち参りやもながし祝い、
さらには髪置や袴着、紐解などの祝いを行い、
子どもの健やかな成長を祝う。
これらは全て子を思う親の情が為せるもので、
世の親は皆、子どもの健やかな成長を祝い、祈っているのだ。
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陰暦11月15日 七五三の祝い

2008年02月04日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月15日の項には、
次のような記述があります。
今で言う、七五三についてのものです。

十五日 兒女三歳ハ髪置(カミオキ)祝、
男兒五歳ハ袴着(ハカマギ)祝、
兒女七歳紐解(ヒモトキ)祝トテ、
神社ヘ參詣シ、親類、朋友ヲ饗應スルモアリ。
分限相應ノ祝ヲ為ス事ナリ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

陰暦十一月十五日 三歳になった女の子は髪置を、
五歳になった男の子は袴着を、
そして、七歳になった女の子は紐解の祝いをする。
神社に参詣し、親類や友人などを招き、御馳走をする。
その家の格式や懐具合いなどによって、お祝いの規模は異なる。
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陰暦11月 冬至 神農会

2008年02月02日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦11月の項には、
次のような記述があります。
冬至についてのものです。

冬至 医家、赤豆飯ヲ作リ、神農會ヲ為ス。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

冬至の日、医者の家では、小豆ごはんを作り、神農をお祭りする。
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