『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

新暦・旧暦 桃の節句

2007年03月24日 | 歴史
桃の節句も、端午の節句も、七夕も、
現在では新暦で行われることが多い。
でも、新暦の端午の節句に柏餅を作ろうとすると、
柏の葉はまだ芽吹いたばかりぐらいで、
柏餅を作ることはできない。
しかし、旧暦の端午の節句の頃になると、
柏の葉は青々と大きくなっており、香り豊かな柏餅を作ることができる。

ところで、今年の旧暦3月3日の桃の節句は新暦の4月19日に当たる。

大須賀筠軒(おおすがいんけん 1841年~1912年)が
明治25年(1892)頃に書き記した『磐城誌料歳時民俗記』には、
桃の節句について、次のような記述がある。

三日 邦俗、是日ヲ女兒節トナス。
昨年重三以後ニ生レタル女子アレバ、
初節供(はつせっく)トテ祝フナリ。
蓬(よもぎ)ノ餅ヲ搗(つ)キ、之ヲ菱形(ひしがた)ニ切リ、
雛棚(ひなだな)ニ供ヘ、又、縁家、懇意ノ者ヘ配贈ス。
蓬草(よもぎ)ヲもち草ト称ス。

これを現代的な表現に改めると、次のようになるかと思う。

旧暦三月三日は桃の節句、雛祭りだ。
前年の重三の日、つまり、「三」が二つ重なる三月三日以後に
生まれた女の子がいる家では初節句を祝う。蓬餅を搗き、
これを菱形に切り、お雛様に供え、
また、親類縁者や親しい人たちに贈る。
蓬草を餅草とも呼ぶ。

コメント
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