『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

いわき市平沼之内の賢沼(かしこぬま)

2007年04月04日 | 歴史
いわき市平の沼之内に賢沼(かしこぬま)がある。
この沼には大型のウナギが生息しており、国指定の天然記念物になっている。

この賢沼について、大須賀筠軒(おおすがいんけん 1841~1912年)は
『磐城誌料歳時民俗記』のなかに、次のように記している。

(旧暦3月)十五日 沼内賢沼辨財天、例祭。
沼内辨天ハ城ノ巽位二里半許、沼内村ニアリ。御朱印十石。
保元二年ノ勧請トイフ。
賢沼周囲九百歩、祠ハ北崖ノ小島上ニアリ。
籠堂、沼ニ臨ム。遊人、欄ニ凭リ、手ヲ拍ツ、鯉鮒水面ニ群リ浮ブ。
參詣人ノ毎ニ餌ヲ與フルニ狎ルヽナリ。

これを現代的な表現に改めると、次のようになるかと思う。

旧暦3月15日は、沼之内の賢沼弁財天の例祭だ。
沼之内の弁財天は磐城平城の東南の方角、約10キロメートルのところにある。
御朱印を与えられている所領が10石ある。
保元2年(1157)に、この地に勧請されたといわれている。
賢沼の周囲は900メートルほどあり、池の北側の小島に弁天様を祀る祠がある。
また、沼に籠堂がある。
参詣人たちは籠堂の欄干にもたれかかり、手を叩くと、
沼のコイやフナが集って来て、餌を貰ったりする。

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