「海外で勉強して働こう」を読んで驚愕する。なんでも、『これまでずっとなるべく言わないようにしていたのだが、もう平たく/明快に言うことにしました。1)日本はもう立ち直れないと思う。だから、2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。(後日注:「海外で伸びてる場所を海外に見つけよう、金のわらじで「伸びてて自分に合った場所」を探しましょう、と。)』なのだそうだ。突っ込みどころ満載である。『かっこ』で引用をしてみよう。
『今の私が考える、日本の20年後ぐらいの将来はこんな感じだ。ベストケース(フランス型):一世を風靡した時代の力は面影もなく、国内経済に活力はないが、飯うま・割と多くの人がそれなりの生活を送れ、海外からの観光客は喜んで来る』
海外からの観光客のマナーが良いとは限らない。場合によっては観光客を誘致した事によって街の景観が破壊される可能性もある。または隣国のように国内の重要地域を買収に出る場合もある。
『ベースケース(アルゼンチン型):貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす。アルゼンチンも19世紀終わり頃には「新たな世界の中核を担うのはアメリカかアルゼンチンか、と言われたほどだったんですけど。)』
貧困層に希望が無いと言うのはどんな漫画を読まれたのであろうか。金持ちの人々とて資産管理や財産相続に悩んでいたり、子女がドラッグ依存等で悩まされているかも知れない。フィリピンでは金持ちではなくても一般市民も地域毎に危険地域に出没する犯罪者を恐れて生活している。逆に貧困層とされる人々のたくましさや明るさはむしろ金持ち=経済大国となった日本の一般市民が学べる部分でもある。現代の日本国民は世界規模で見れば貧困層では決して無いのに未来に希望が持てない人々も多い。
『ワーストケース:閉塞感と絶望と貧困に苛まされる層が増加、右傾化・極端で独りよがりな国粋主義の台頭を促す。ワーストケースになると、日本の外にいてもとても怖い。日本は人口も多いし(20年後7000万人になってもまだイギリスより多い)、集団行動をすることにかけては世界で最も優れた民族である。なんだかんだ言って軍事力だって大いにある。』
この件については、おそらく日本国民が武装蜂起して内戦か何かを引き起こすとでも考えているのだろうか。それならば「戦争が起こったら、国のために戦うか?」を見て欲しい。国の為に戦いたくない順にランキングをつけたとして、2位のドイツを大きく引き離している。世界の国々の中でもこれ程までに戦争嫌いの国も無いのである。今よりも集団行動が重んじられたあの時代に三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地にてクーデターを促した際にさえ、日本人は立ち上がらなかった。また日本が軍事力を有するのは確かだが、近代兵器は誰にでも操作できるものでは無い。一定の訓練を経て初めて運用が可能なのである。私がイージス艦を一隻貰ったとしても明日にでも操縦できるわけでは無い。日本語に堪能な外国人もおられる今日、荒唐無稽な妄想は国辱に等しい。是非お止め頂きたいと思う。
『大量の優秀な人たちが間違った方向で一致団結したら何が起こるか。アルカイダですらアメリカ本土攻撃できちゃうんですから。』
本件については単純に調査不足ではないか。「アルカイダ」はテロ集団ではなく、データベースの名称である事に留意されたい。サウジアラビアはジェダにあったイスラム開発銀行のサーバーの一部をイスラム会議用に開放して構築されたデータベースを「アル・カイダ」(アラビア語で「基地」)と呼んだだけの事だ。言い換えれば「アルカイダと言う名のテロ集団」の存在すら疑わしいのである。いわゆる「アル・カイダ」として知られるテロリスト組織の存在は未だ不明なのである。
次にこの「アルカイダ」が「アメリカ本土攻撃」をしたといつ決定されたのであろうか。おそらく9/11についての言及であろうが、本件が米国内部工作或いは米国の関与の可能性が高いことは事件直後から指摘され続けている通りである。これはむしろこう言い換えよう;『大量の優秀な人たちが間違った方向で一致団結したら何が起こるか。あのアメリカですらアルカイダなる組織をイギリスと捏造して自作自演の本土攻撃できちゃうんですから。』笑
『日本国内の閉塞感が打破できないなら海外に行けばよいではないですか。(会社レベルで海外とのチャネルを強化する、というのも組織レベルでの閉塞感を小さくする一つの方法だと思うので、そこは仕事で細々とサポートし続けていたりはする。)とはいうものの、海外でいきなり就職するのは大変だと思うので、まずは留学してそのまま居残る、というのが楽なわけです。』
溜息が出そうである。世界的不況の中で失業率が軒並み上昇する中、どこの国の誰が日本人を敢えて採用するのであろうか。海外で居残る為には例えば留学生であれば学生ビザの失効の前に新たに就業ビザを取らねばならないであろうが、この為には現地法人等に就職する必要がある。コネクションが必要だったり、信頼できる弁護士や有力議員との折衝が必要だったり、従事する分野において卓越した技能を保持する事とその証明が必要だったり、現地に居残ると言うのもそれなりに大変だと思う。留学ひとつとってみても学資の準備も必要だし、この著者が言う程には簡単ではないのである。さらには日本国内には豊かなインフラをベースとして工夫次第では海外では体験出来ないような事柄が学べるかと思う。ハイテク技術や高度先端医療、生命科学や物質科学の基礎研究からアカデミックな人文社会科学まで、日本の蓄積は私達が思っている以上のものがある。実際に私もアメリカ・フィリピンと滞在してそれを痛感している。
私自身、海外留学やワーキングホリデー等を一度は体験される事をお勧めしているが、それは偏に海外の一般市民に対して真の日本を発信し、また世界の中の日本の位置づけを理解して本邦の発展に貢献出来る市民が一人でも増えればとの想いからである。今回紹介した記事は「経済至上主義」のエッセンスが浸み込んでいるが、日本の豊かな精神文化に目を向けつつ、明治から昭和初期に育った先人らのように社会発展の為の経済、経世在民を考えるような経済活動を実践する日本人が出てくればと思う。渋沢栄一や本多静六を輩出した国なのだから。
トラバ
http://www.typepad.com/services/trackback/6a00d8341c3b6353ef01156f626edc970c
『今の私が考える、日本の20年後ぐらいの将来はこんな感じだ。ベストケース(フランス型):一世を風靡した時代の力は面影もなく、国内経済に活力はないが、飯うま・割と多くの人がそれなりの生活を送れ、海外からの観光客は喜んで来る』
海外からの観光客のマナーが良いとは限らない。場合によっては観光客を誘致した事によって街の景観が破壊される可能性もある。または隣国のように国内の重要地域を買収に出る場合もある。
『ベースケース(アルゼンチン型):貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす。アルゼンチンも19世紀終わり頃には「新たな世界の中核を担うのはアメリカかアルゼンチンか、と言われたほどだったんですけど。)』
貧困層に希望が無いと言うのはどんな漫画を読まれたのであろうか。金持ちの人々とて資産管理や財産相続に悩んでいたり、子女がドラッグ依存等で悩まされているかも知れない。フィリピンでは金持ちではなくても一般市民も地域毎に危険地域に出没する犯罪者を恐れて生活している。逆に貧困層とされる人々のたくましさや明るさはむしろ金持ち=経済大国となった日本の一般市民が学べる部分でもある。現代の日本国民は世界規模で見れば貧困層では決して無いのに未来に希望が持てない人々も多い。
『ワーストケース:閉塞感と絶望と貧困に苛まされる層が増加、右傾化・極端で独りよがりな国粋主義の台頭を促す。ワーストケースになると、日本の外にいてもとても怖い。日本は人口も多いし(20年後7000万人になってもまだイギリスより多い)、集団行動をすることにかけては世界で最も優れた民族である。なんだかんだ言って軍事力だって大いにある。』
この件については、おそらく日本国民が武装蜂起して内戦か何かを引き起こすとでも考えているのだろうか。それならば「戦争が起こったら、国のために戦うか?」を見て欲しい。国の為に戦いたくない順にランキングをつけたとして、2位のドイツを大きく引き離している。世界の国々の中でもこれ程までに戦争嫌いの国も無いのである。今よりも集団行動が重んじられたあの時代に三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地にてクーデターを促した際にさえ、日本人は立ち上がらなかった。また日本が軍事力を有するのは確かだが、近代兵器は誰にでも操作できるものでは無い。一定の訓練を経て初めて運用が可能なのである。私がイージス艦を一隻貰ったとしても明日にでも操縦できるわけでは無い。日本語に堪能な外国人もおられる今日、荒唐無稽な妄想は国辱に等しい。是非お止め頂きたいと思う。
『大量の優秀な人たちが間違った方向で一致団結したら何が起こるか。アルカイダですらアメリカ本土攻撃できちゃうんですから。』
本件については単純に調査不足ではないか。「アルカイダ」はテロ集団ではなく、データベースの名称である事に留意されたい。サウジアラビアはジェダにあったイスラム開発銀行のサーバーの一部をイスラム会議用に開放して構築されたデータベースを「アル・カイダ」(アラビア語で「基地」)と呼んだだけの事だ。言い換えれば「アルカイダと言う名のテロ集団」の存在すら疑わしいのである。いわゆる「アル・カイダ」として知られるテロリスト組織の存在は未だ不明なのである。
次にこの「アルカイダ」が「アメリカ本土攻撃」をしたといつ決定されたのであろうか。おそらく9/11についての言及であろうが、本件が米国内部工作或いは米国の関与の可能性が高いことは事件直後から指摘され続けている通りである。これはむしろこう言い換えよう;『大量の優秀な人たちが間違った方向で一致団結したら何が起こるか。あのアメリカですらアルカイダなる組織をイギリスと捏造して自作自演の本土攻撃できちゃうんですから。』笑
『日本国内の閉塞感が打破できないなら海外に行けばよいではないですか。(会社レベルで海外とのチャネルを強化する、というのも組織レベルでの閉塞感を小さくする一つの方法だと思うので、そこは仕事で細々とサポートし続けていたりはする。)とはいうものの、海外でいきなり就職するのは大変だと思うので、まずは留学してそのまま居残る、というのが楽なわけです。』
溜息が出そうである。世界的不況の中で失業率が軒並み上昇する中、どこの国の誰が日本人を敢えて採用するのであろうか。海外で居残る為には例えば留学生であれば学生ビザの失効の前に新たに就業ビザを取らねばならないであろうが、この為には現地法人等に就職する必要がある。コネクションが必要だったり、信頼できる弁護士や有力議員との折衝が必要だったり、従事する分野において卓越した技能を保持する事とその証明が必要だったり、現地に居残ると言うのもそれなりに大変だと思う。留学ひとつとってみても学資の準備も必要だし、この著者が言う程には簡単ではないのである。さらには日本国内には豊かなインフラをベースとして工夫次第では海外では体験出来ないような事柄が学べるかと思う。ハイテク技術や高度先端医療、生命科学や物質科学の基礎研究からアカデミックな人文社会科学まで、日本の蓄積は私達が思っている以上のものがある。実際に私もアメリカ・フィリピンと滞在してそれを痛感している。
私自身、海外留学やワーキングホリデー等を一度は体験される事をお勧めしているが、それは偏に海外の一般市民に対して真の日本を発信し、また世界の中の日本の位置づけを理解して本邦の発展に貢献出来る市民が一人でも増えればとの想いからである。今回紹介した記事は「経済至上主義」のエッセンスが浸み込んでいるが、日本の豊かな精神文化に目を向けつつ、明治から昭和初期に育った先人らのように社会発展の為の経済、経世在民を考えるような経済活動を実践する日本人が出てくればと思う。渋沢栄一や本多静六を輩出した国なのだから。
トラバ
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