団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

原子力安全委員会、「防災圏拡大」耳傾けず 

2011-11-26 11:19:55 | 日記

 国が1999年と2000年に防災指針を改定した際、意見募集(パブリックコメント)で、原発事故に備えた防災対策の重点区域(EPZ)の拡大を求める意見が相次いだのに、原子力安全委員会が退けていたことが分かった。東京電力福島第1原発事故では重点区域を越えて放射性物質が拡散し、住民が避難を余儀なくされるなど、防災指針の不備が露呈。安全委の判断の甘さがあらためて浮かび上がった。

 指針は80年に決められ、EPZは原発から半径8~10キロと定められた。安全委の資料によると、00年4~5月の意見募集では、兵庫県の防災担当責任者だった斎藤富雄防災監(当時)が、EPZ外でも農産物や飲料水を通じて放射性物質が拡散する可能性があると指摘。「原発からの距離により、対応の必要性を判断するのは不適切だ」と訴えた。

 新潟県柏崎市議(当時)は「チェルノブイリ級の被害想定もすべきだ」と指摘。だが、防災指針改定を審議する安全委の専門部会(能沢正雄部会長=当時)は、同年5月24日の会合で、こうした指摘を一蹴した。結局、部会はEPZ外の飲食物汚染について、指針に「摂取制限などの措置」を追加したほかは、意見に基づく修正は見送った。

 99年5~6月の意見募集では、脱原発を訴えるジャーナリストが、EPZ拡大を国に要望する98年の全国市長会決議を挙げ「半径8~10キロが説得性を持たないことは明らかだ」と主張した。しかし、同部会は「範囲を変更する必要はない」との事務方の回答案を追認していた。

 福島の事故ではEPZの倍の半径20キロ圏が現在も警戒区域として立ち入りが制限され、広範囲の住民に影響が出た。農作物などの放射能汚染は100キロ以上離れた首都圏にまで拡大。原発周辺の自治体は大混乱に陥った。

(中日新聞)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿