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【東日本大震災】津波が土台えぐり、倒す 堤防決壊のわけ

2011-06-12 07:09:09 | 日記

 東日本大震災の巨大津波で沿岸の堤防が壊滅的な被害を受けたのは、強い水流で土台がえぐられる「洗掘(せんくつ)」と呼ばれる現象や「引き波」による強い打撃力など、複合的な要因が影響したことが専門家の現地調査で分かった。堤防の多くが津波を食い止められなかったことが被害の甚大化につながっており、巨大津波の破壊力の実態が明らかになった。

 大震災による津波は検潮所で9・3メートル以上(福島県相馬市)、斜面を駆け上がる遡上(そじょう)高で最大40・5メートル(岩手県宮古市)にも達した

沖合の防波堤や海岸の防潮堤は明治三陸地震(明治29年)やチリ地震(昭和35年)の津波被害を教訓に築かれたが、波が堤防を越える想定外の事態に見舞われ、多くが破壊された。

 高知大総合研究センター防災部門の原忠(ただし)准教授(地盤工学)によると、被害で目立ったのは堤防を乗り越えた波が壁の背後に回り込み、基礎部分をえぐる「洗掘」という現象だ。

 原准教授は「壁を越えた津波は、巨大な水の塊となって加速しながら裏側に落下し、ものすごい勢いで海底や地面にぶつかり、土や石を洗うようにえぐり取った」と説明する。

 堤防は洗掘で陸側の土台がえぐられて支えを失ったうえ、水没したことで浮力が働き不安定になった。さらに津波で海面が上昇したことで、堤防の上部が海側から押され、「てこの原理」で力が強まり、容易に転倒したとみている。

 内陸へ押し寄せる「押し波」は、やがて海側へ引いていく「引き波」となる。東京大地震研究所の都司嘉宣(つじよしのぶ)准教授(津波工学)は、引き波による被害も大きかったと指摘する。

斜面を駆け上がる押し波は徐々に力を失うが、引き波は逆に駆け下りながら加速する」ためだ。引き波は、がれきや自動車などを巻き込むことで打撃力が強まる性質もあり、押し波には耐えたが、引き波で壊れた防潮堤もあった。

 都司准教授は「地形が海側に出っ張って湾曲している場所は、引き波を集めてしまうため特に被害が目立った」と話す。

 津波が堤防を越えたことで、沿岸の木造家屋はひとたまりもなく破壊されたが、鉄筋コンクリート造りの建物は基礎の状態によって被害が分かれた。

 九州大大学院のヘマンタ・ハザリカ教授(地震地盤工学)は「地盤にくいを打ち込んだ大きな建物は低層が被害を受けた程度だが、中小住宅に多い地面に乗せただけの『べた基礎』の建物は大半が倒壊した」と話す。海岸に近い斜面では、補強のため吹き付けたコンクリートが津波で崩れており、「梅雨を迎えて土砂崩れの恐れがある」と警鐘を鳴らしている。(産経・伊藤壽一郎)


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