「利休にたずねよ」 山本兼一 PHP 2008.11.7
本末転倒かもしれないが……
内容、構成はともかく、随所に観られる山本さんの造詣に感心(^-^;
若き利休に鮮烈な恋があったという伏線が、
周囲の人々の利休への思惑と絡み合う。
秀吉は思う。
利休の店前には、一座の会、一碗の茶をかけがえのないものとして
慈しむ執着と気迫がある。そんなこころを秘めながら、
かろやかに店前してみせる。
家康は思う。
生きることの一大事は、日々すがすがしい朝を迎えることか。
大徳寺高僧・古渓宗陳は考える。
どの宗派の僧にしたところで、法力などありはすまい。
それは、人間のおろかさにつけこんだ坊主の騙りの類である。
法力と称して寄進を得るむさぼりにほかならない。
宗陳に利休が言う。
人は、だれしも毒をもっておりましょう。毒あればこそ、
生きる力も湧いてくるのではありますまいか。
肝心なのは、毒をいかに、志まで高めるかではありますまいか。
高きを目指してむさぼり、凡庸であることに怒り、
愚かなまでに励めばいかがでございましょう。
山本兼一氏の早すぎた死が悼まれる。合掌……
本末転倒かもしれないが……
内容、構成はともかく、随所に観られる山本さんの造詣に感心(^-^;
若き利休に鮮烈な恋があったという伏線が、
周囲の人々の利休への思惑と絡み合う。
秀吉は思う。
利休の店前には、一座の会、一碗の茶をかけがえのないものとして
慈しむ執着と気迫がある。そんなこころを秘めながら、
かろやかに店前してみせる。
家康は思う。
生きることの一大事は、日々すがすがしい朝を迎えることか。
大徳寺高僧・古渓宗陳は考える。
どの宗派の僧にしたところで、法力などありはすまい。
それは、人間のおろかさにつけこんだ坊主の騙りの類である。
法力と称して寄進を得るむさぼりにほかならない。
宗陳に利休が言う。
人は、だれしも毒をもっておりましょう。毒あればこそ、
生きる力も湧いてくるのではありますまいか。
肝心なのは、毒をいかに、志まで高めるかではありますまいか。
高きを目指してむさぼり、凡庸であることに怒り、
愚かなまでに励めばいかがでございましょう。
山本兼一氏の早すぎた死が悼まれる。合掌……