「銀杏手ならい」 西條奈加 祥伝社 H29.11.20
小日向水道町にある、いちょうの大樹が看板の『銀杏堂』は、嶋村夫妻が25年に亘って切り盛りしてきた手習指南所。
子を生せず、その家に出戻ることになった一人娘の萌は、隠居を決め込む父・承仙の跡を継ぎ、母・美津の手助けを得ながら筆子たちに読み書き算盤を教えることに。
だが、親たちは女師匠と侮り、子供がたちは反抗を繰り返す。
彼らのことを思って為すことも、願い通りに届かない。
そんなある日、手習所の前に捨てられていた赤ん坊を、萌は引き取ることにした。
子供たちに一対一で向き合い、寄り添う萌。
子供たちや美津をはじめ、近所の人々、指南仲間なども魅力的。
美津が萌に言う。
「子供というものは、現在(いま)だけを生きておりますからね。来し方に思いをめぐらせるのは、大人だけです」
「いかだ満月」 山本一力 角川春樹事務所 2008.9.8
何となくボーッとしてる時にも読める一冊を再読。
鼠小僧次郎吉の妻子を絡めている。
川並衆、商人たち、水戸藩の武士たちなど、
登場人物たちの気っ風が心地好い。