「クジラアタマの王様」 伊坂幸太郎 NHK出版 2019.7.5
製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。
広報部員・岸はその事後対応をすればよい……はずだった。
訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。
不可思議な感覚、人々の集まる広場、投げる矢、動かない鳥。
打ち勝つべき現実とは、いったい何か。
いかにも伊坂さんな、エンターテイメント、かな。
主人公の名前を、楽天イーグルスの岸孝之投手にちなんで付けると最初から決めていて、
別の登場人物・小沢ヒジリは2018年に引退した聖澤諒から、とのこと。
科白のないマンガとのコラボも面白い。
P9
ニュースや話題になるのら、物事の重要性や危険性よりも、多くの人たちの感情が優先される。(略)情報操作や誘導にかかわらず多くの人は、感情に正直なだけなのだ。
P143
人が手に入れられなかったものを持っている優越感は、確かに気分がいい。
P359
現実は、僕の触れるこの、今体感しているここだった。情報でも、ましてや夢の中でもない。
