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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 378

2021-12-20 18:31:20 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究45(2017年1月実施)『寒気氾濫』(1997年)
    【冬桜】P151~
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取 未放


378 バスの来るまでを笑みいしあなたなりき最後の声を思い出せない

      (レポート)
 「なりき」の過去の助動詞「き」より、「あなた」と作者はかつて実際にバスを一緒に待ったことがあるのだろう。その過去の回想シーンで、あなたの「笑み」は実感として読者に伝わる。しかし声が脳内再生できないという、そう詠われると、顔のあったものが急にどろんと消えてしまったような頼りなさの手触りがのこる。(真帆)


            (当日発言)
★「最後の声を思い出せない」は、一生懸命思い出そうとしているんだと思います。(M・S)
★そうですね、最後になんと言ったか、もちろん言葉としては覚えているんでしょうけど、声が思
 い出せないと。声って肉体が伴うようなリアルなものですから、もどかしいですね。(鹿取)
★どろんと消えるって、そういう消え方ではないと思います。(曽我)
★記憶って、視覚の方が残っていて聴覚の方は残っていないのかな。(鈴木)
★ひかりの向こうへ行ってしまったような感じを真帆さんは鑑賞されたんじゃないでしょうか。
    (慧子)

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