かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 139

2020-12-28 20:06:10 | 短歌の鑑賞
   ブログ版 渡辺松男研究 16   二〇一四年六月
     【Ⅱ 宙宇のきのこ】『寒気氾濫』(1997年)60頁~
      参加者:曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放、鈴木良明(紙上参加)
      レポーター:曽我 亮子   司会と記録:鹿取 未放



139 桜 かぞえきれない毛虫すまわせてあるとき幹をぴくぴくとする

      (紙上意見)
 桜の木にはたくさんの毛虫が発生する。葉の毛虫はよく見かけるが、幹の毛虫はよっぽど近寄ってみないとわからない。それでもあるときは幹の表面がぴくぴく動いたかのように、毛虫が蠢いたのである。(鈴木)

      (発言) 
★毛虫が動いたことを幹が動いたとする見方が楽しいと思います。(慧子)
★これは幹がぴくぴくするのであって虫がぴくぴくするんではないよね。(曽我)
★桜の木が主語だから、毛虫が動いたのではなくて、桜の幹自体がむずがゆくて動いたととりまし
 たが。「すまわせて」は能動だから、もしかしたら毛虫がいっぱい住んでいるのが嬉しくて幹を
 ぴくぴくさせたという解釈もできそうです。(鹿取)
★この歌、57577に言葉が配置されていないから、何か読みにくいですね。そのはみ出しが気
 味悪さを表しているのかなあ。でも渡辺さん、虫、あんまり差別していないからやっぱりよろこ
 んでるのかなあ。(鹿取)
★さきほどと意見が変わりました。やっぱりこの桜は毛虫を嫌がっていないんですね。ぴくぴくし
 ているのは毛虫と交信しているので、喜びですよ。(慧子)

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