かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 248 中国⑫

2023-06-07 15:28:25 | 短歌の鑑賞
2023年度版馬場あき子の旅の歌33(2010年11月実施)
  【砂の大地】『飛天の道』(2000年刊)192頁~
   参加者: N・I、Y・I、佐々木実之、T・S、曽我亮子、
       藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター: 藤本満須子 司会とまとめ:鹿取 未放

          
248 ただ一つ訪ひたるパオにカザフ居り銭取りてその住みか見せたり

       (レポート)
 一軒だけおとずれたパオにはカザフ人が住んでいて観光客には料金をとって見せている、というのだ。カザフ族は天山の麓で羊の群と暮らし冬になると低地におりてくらす。
 カザフスタンは中央アジアの真ん中に広がる世界で9番目に広い国で国土の26%はステップ。広大な穀倉地帯を形成している。南東部には天山山脈、アルタイ山脈、タルバガイ山脈が走り、西はカスピ海に接している。石油、天然ガスに恵まれた資源大国である。1991年12月ソ連の崩壊により独立した。(藤本)


         (当日意見)
★「銭取りて」パオという珍しい住まいを見せたというところ、かつて学習したサハラ
 砂漠の歌を思い出した。貧しい民が「銭取りて」観光客に何かを売るさもしさとも、
 哀しさとも言えないある感情、またそれを受ける側の感情、その双方に流れる名付け
 がたい感情の淀みを思うと苦しい。馬場はアフリカの旅の歌で、ベルベル族の少年に
 対しては「愛(かな)し」と歌っている。しかし、カザフは資源大国というから国民
 は豊かなのだろうか。すると銭を取る商業主義に苦々しい思いを抱いたということ
 か。(鹿取)

   ベルベル族の少年は沙漠に手を広げ友よと言ひてなよるならずや
       「阿弗利加」『青い夜のことば』
   料金のありてそれだけの友情を買ふことも砂を行き愛(かな)しうす


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