かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 242

2024-04-14 19:45:46 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究29まとめ(2015年7月実施)
   【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)100頁~
    参加者:S・I、M・S、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:渡部 慧子  司会と記録:鹿取 未放


242 夏の日の黄揚羽・電話そして君 突然に来て簡単に去る 

       (当日意見)
★M・Sさんが「記号って短歌に使ってもいいの?」とおっしゃったんだけど、ここ
 では 「・ (なかぐろ)」が使われていますよね、並列を表す為に。最近は皆さ
 ん、けっこうに記号を 使っていますね。この歌集と同じ1990年代には、ニューウ
 ェーブと呼ばれる人たちが 盛んに記号を使いました。加藤治郎さんとか荻原裕幸
 さんとか、よかったら読んで見てく ださい。(鹿取)
★夏の日が最初にくるのがいいと思います。突然に来て簡単に去るものを順番にあげて
 いるようですが、ちゃんといいものをあげていると思います。(M・S)
★そうですね、アトランダムのようで詩的に出来上がっていますよね。黄揚羽のキ、君
 のキ、来てのキと歯切れのよいキの音を連ねて心地よいリズムを生んでいます。夏の
 日が強烈なんだけど他の物はなんとなくはかない感じですよ。黄揚羽が突然目の前に
 現れてあっという間にいなくなってしまうように、君からの電話も君自身もあっとい
 う間に目の前から去ってしまう。最近の若い人がうたっているようないわば平べった
 い言いまわしなんだけど上手くつかめていますよね。まあ、去られるのもここでは甘
 い痛みなんでしょうけど。「突然に来て簡単に去るもの」って三つまとめて、「枕草
 子」みたいで楽しいです。(鹿取)


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