かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 88

2020-09-07 19:14:11 | 短歌の鑑賞
  ブログ版渡辺松男研究⑩(13年11月)
     【からーん】『寒気氾濫』(1997年)36頁~
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明(紙上参加)、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター 渡部慧子    司会と記録:鹿取 未放


88 直立の腰から下を地のなかに永久(とわ)に湿らせ樹と育つなり

     (レポート)
 「樹」として育つことの定めを他者(人間)が詠っていると考えると、「腰」に納得できない。「腰から下を地のなかに永久(とわ)に湿らせ」をどう理解すればよいのか。これは通常の尺度をあてはめて、常識の穴に落ちている故のとまどいだろうか。あるとき樹に成りきる作者には通常根と呼ばれているところは腰なのかもしれない。(慧子)

       (記録)
 ★私なんかは樹の根を足から下くらいにしか思っていないけど、渡辺さんは腰ととらえ
  ている。(崎尾)
 ★樹は上っ面だけでなくて腰から下を土の中に入れているからこそ永久に育っていける
  のだ、なかなか本当のところをよく見て表現されていると思う。(曽我)
 ★腰ってわりと単純な比喩だと思うけど。水分を摂取しないといけないから、生きてい
  る間はずっと腰から下が湿っているんですね。人間だったら体感的にちょっと気持ち
  悪い事ですから、樹もちょっと辛いだろうなあと言うニュアンスなのかなあ。(鹿取)

      (後日意見)
 「足から下」ではなく、「腰から下」と詠んだところに、平凡でない樹の実感がある。
    (鈴木)


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