2001年7月のオーロラ号、左端の男性はツアーの引率者
2025年度版 馬場あき子の外国詠1(2007年10月実施)
【オーロラ号】『九花』(2003年刊)135頁~
参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、Y・S、T・S、藤本満須子、
T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:K・I 司会と記録:鹿取未放
1 日本海海戦より生還せしはただ二艦そのオーロラ号白きネヴァ川
(当日発言)
★司馬遼太郎『坂の上の雲』にこのあたり詳しい。(崎尾)
★ロシアが負け、皇帝制が崩壊していく象徴としてのオーロラ号。(藤本)
(まとめ)
1905年の日露戦争、日本海海戦に参戦したロシアの39艦のうち帰還できたのはたった二艦だったという。そのうちの一艦が「三笠」と対決して敗れたオーロラ号。全長126メートル、6000トンの巡洋艦である。
作者は史実と目の前の実景だけをうたっている。感情を表現することばはない。あるとすれば「ただ」という副詞と「白き」であろうか。「白き」は連体形だがここでは「ネヴァ川」に掛かるのではなく、詠嘆を表す連体中止法の態で使われている。「白き」の後に目に見えない休止が入っていると考えるとわかりやすい。「生還した二艦のうちの一艦であるオーロラ号が白く浮かんでいる、ここネヴァ川よ」という気分なのだろう。残念ながらこのオーロラ号はレプリカだそうだ。
日露戦争でバルチック艦隊を率いたロジェストウェンスキー中将の手紙がこの度ロシアで発見され、妻への手紙には「この艦隊は滅亡するだろう」というようなことが書かれているそうだ。(2007年10月25日「朝日新聞」夕刊)『坂の上の雲』に描かれた傲慢な愚将像とはずいぶん違うらしい。(鹿取)
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