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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 14

2025-04-04 17:15:54 | 短歌の鑑賞

2025年度版 渡辺松男研究2の2(2017年7月実施)
 『泡宇宙の蛙』(1999年)【蟹蝙蝠】P14~
   参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆       司会と記録:鹿取未放          


14  稚児車(ちんぐるま)いっしょうけんめい山にありてどんなに人は死にても 咲く

            (レポート)
 稚児車はバラ科の小低木で、五弁の白い小さな花を咲かせる。一面に咲く小ささな稚児車の花から詠い起こし、健気な命をみつめつつ、下句へゆく。結句の「人は死にても 咲く」は作者の哲学なのだろう。    (真帆)
 

            (当日意見)                       
★一連、死のことを思っている。お母さんの一生を青虫と比べたり、鳥くらい軽ければ死も受け入れやすかろうと思ったり。そんなことを思いながら山登りしているんでしょうか。懸命に咲いている小さな稚児車を見ながら、人間はどんどん死んでいく、でも稚児車は咲く。まあ、稚児車だって同じ花が永遠に咲いている訳じゃないですけど。似たような場面を作者があとがきで書いていたので、まとめに書いておきます。    (鹿取)
                 

           (まとめ)
 尾瀬沼を一周し、大清水への長い下り道を歩いているうちにいつしか前後に人がいなくなり、蟬が鳴き、鳥が鳴き、水の音が聞こえ、落ちようとする太陽が山毛欅や水楢やもろもろのみどりの草木をまぶしく照らし出したとき(ああみんな死んでいく。ああみんな生きている。)と思ったことがあった。生の圧倒感にジーンときたことがあった。(『泡宇宙の蛙』あとがきより)


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