Darkness Before the Daylight Blog

鋼の錬金術師、黒子のバスケにまつわる人々、漫画やアニメ、日々の楽しみ、その他つれづれ。

夢よ 急げ

2011-12-23 17:37:12 | 更新しました

寒い毎日ですが、皆様いかがお過ごしですか。

大雪で除雪が大変な管理人です。

「夢よ 急げ」短いですが、お楽しみいただければ幸いです。

来年1月8日、インテックス大阪でのCOMIC CITY OSAKA 87に行けることになりました(感涙)

飛行機が無事に飛ぶことを祈るばかりです。

もう年の瀬、サイトの更新頑張ります!たぬたんぐも、学園パラレルも、敗北設定話も

兄弟パラレルも(以下略、構想だけで形にしていないのがいくつあることやら)

ご来訪、拍手ありがとうございます!いつもとっても励まされています!


ロイ・たぬたんぐ大佐とエドにゃんのお話(6)

2011-12-18 22:29:08 | 小話

「ではエドワード。錬金術というのは、魔法とは違う。何でも出せる訳じゃないという話を

この前したね」

「うん」

「難しいかもしれないが、科学の法則にのっとったことしかできないんだ。それはよく覚えて

おくんだぞ」

ちょこんとお座りしたエドワードに向かい、大佐はかしこまってせきばらいを一つしました。

錬金術を身につけるというのは、まずは何ができて、何ができないかを知ることから

始まります。

このもってまわったくどい話をきけば、幼い(かもしれない)エドワードの頭の中が

オーバーヒートして、「大佐ーわかんないよー」と投げ出してくれはしないかと思ったのです。

「では、錬金術の大切な法則を、二つ言ってごらん」

テストをすると、エドワードは、質量一の物からは同じく質量一の物しか錬成できない

ことと、同じ属性を持つ物しか錬成できないことをすらすらと答えました。

これは「よくできました」と言わざるを得ません。

大佐は、教えたことをエドワードがちゃんと覚えていたため、一瞬嬉しくなりかけました。

しかし落ち着いて考えると、それでは困るのです。

すると、エドワードは質問をしてきました。

「大佐、錬金術で、こういうことはできるの?」

「何だ」

「家の壁に穴をあけて、またふさぐことは?」

「まあ…できなくはない。多少錬成の跡は残るだろうが」

「じゃあ、鎖を切って、またつなぐことは?」

「それも、できると思う」

こういうピンポイントな質問には、比較的答えやすいのです。何を目的にこんなことを

尋ねてくるのかとは思いましたが、うかつに聞くとやぶ蛇になりそうなので、大佐は

黙っていました。

「じゃあ、じゃあだよ大佐。誰かが隠れている場所を探すことはできる?」

「は?」

これには驚き、たぬたんぐ大佐の頭の中ははてなマークでいっぱいになりました。

考えたこともなかったのです。

「…エドワード、それはつまり、例えばかくれんぼで、見えない遠い場所に隠れている人を、

見つけるというようなことか?」

「そうそうそう!大佐ありがとうわかってくれて!」

いやそのと、もうエドワードの倍生きてしまい、一般には心に夢をなくしている年代の

大佐は言葉に詰まりました。エドワードの言っているのは、錬金術を遠く離れた、

透視だの千里眼だのテレパシーだのという、証明不可能なうさんくさい「超能力」の

分野です。それらに比べると、一応科学で説明可能な範囲のことを、地中のエネルギーを

利用して行う錬金術は「ちょい能力」とでも言うべきで、まあつまり次元が全く違うのです。

どう考えても無理だと大佐は答えました。

「ええーっ、どうして」

エドワードが口をとがらせました。大佐が説明しようとした時、エドワードが突然顔色を

変えたのです。

「…大佐。あっちに、なんか困ってる人がいるような気がする」

驚いてエドワードが指し示す方を向きますが、何も聞こえません。

「行こう!」

エドワードは走り出しました。大佐はあわてて追いかけました。

エドワードの後足の肉球がぴこぴこと見えます。

しばらく走ると、白黒模様のクマのようなまるっこい生き物が二匹、草むらに倒れています。

小さいのと中くらいのとが、同じポーズで横たわっていました。

エドワードが駆け寄って起こすと、中くらいの方が目を開けました。

「おなか…すきましタ」

もう一匹の小さい方も口をぱくぱくさせています。

「大佐、何か食べさせてあげようよ」

たぬたんぐ大佐は正直、気が進みませんでした。これははるか遠いシン国産の、

中華パンダだとわかったのです。しばしば空腹を訴え、情け深い人がうっかりご馳走

しようとすると、財布が空になるほど食べまくるという噂がありました。そして小型の

中華パンダは体格に似合わず凶暴でいまいち可愛げがなく、やたらと牙をむくと

いわれているのです。大佐は情報通なので、そんなのは常識です。

しかしエドワードがそう言うので、仕方なく大佐は持っていたサンドイッチを取り出し

ました。差し入れてもらったものの残りです。二匹のパンダは大喜びで食べ始めました。

大佐の小さな風呂敷包みは四次元ポケットのように、たくさんの物が入るのです。

あっという間にサンドイッチは二匹のお腹の中におさまりました。中くらいのパンダは

深々と頭を下げました。

「ありがとうございましタ。このご恩は忘れませン」

そのパンダは雌のようで、メイちゃんと名乗りました。自分に「ちゃん」をつけるというのは

どんなものだろうと、口には出さずに大佐は思いました。それは実は名字なんですけど。

それにしても行き倒ればかり拾っているような気がしてきます。

何をしにシン国から来たのかを尋ねましたが、はっきり言おうとしないので、話は

そこまでで終わりました。また旅に出るという中華パンダ二匹を見送り、大佐と

エドワードも歩き始めました。

「でもエドワード、どうしてさっき、あの二匹が困っているのがわかったんだ?」

大佐が尋ねると、エドワードは首をかしげました。

「わかんない。なんか、そんな気がしただけ」

たぬたんぐ大佐も、とても不思議でした。エドワードがそれに気付いた場所と、二匹が

倒れていた場所はかなり離れていて、匂いが届くとも思えませんでした。

考え込んでいる大佐をよそに、エドワードは言いました。

「大佐、隠れてる人を探す錬金術、俺が十八になるまでに考えるよ。そしたら大佐にも

特別に教えてあげるからな。錬金術教えてくれるんだし、礼には及ばないからな!」

大佐の内心に無意識にクリティカルヒットをくらわし、また大佐の立場を厳しくした

エドワードは、にゃん!と笑いました。

………続く………

ご来訪、拍手、メッセージありがとうございます!

12/18  メグさま

いらっしゃいませ!こちらこそいつも温かいお言葉をありがとうございます!

学園パラレル、片思いでも三角関係でもなく、お互い思っているのに切ない話に

なってしまってます。でも必ずハッピーエンドになりますので、見守っていただければと

思います。続けて読んで下さって、本当に嬉しいです。

たぬたんぐ話はちょうどいい気分転換になってまして、シリアスな話と、軽く読めて

笑える話を並行して書くことで楽しんでいます。仰るとおり、書く日は自然と分かれます。

これから毎回新しいキャラクターが登場してくるので、よろしかったらお付き合い下さい。

なごんでいただけて、書いた甲斐がありました!


ロイ・たぬたんぐ大佐とエドにゃんのお話(5)

2011-12-14 00:54:31 | 小話

二匹は、それからも旅を続けました。

隣村を越え、また次の村を目指して進みます。

たぬたんぐ大佐はその途上、見つけた本屋や図書館、博物館などには全て立ち寄り、

錬金術についての本がないかを確認しました。

しかしなかなか、目指すものは見つかりませんでした。勉強熱心な大佐のこと、大抵の

本はもう読んでしまっているからです。

また、「自分の性格を直したい人の読む本」なども手に取りました。しかしこれまた、

あまり参考にはなりませんでした。自分の性格に悩んでいる人というのは、ほとんどの

場合、人付き合いをもっと円滑にできるようにしたいのが理由であって、大佐のように

優しい性格が仕事上災いしているというのは極めてレアケースなのです。

猫のエドワードは相変わらず、錬金術の理論上の基礎について教わりながら、

大佐大佐といつもついて歩いていました。

「大佐は本が好きなんだな」

エドワードの耳がひょこ、と動きました。

「だから錬金術がうまいんだな」

ひとり納得し、エドワードはふと尋ねてきました。

「そういえば錬金術の免許って、誰にもらうんだ?」

恐れていた質問です。

「…それは…私の仕えている、たぬきの大総統だ」

たぬたんぐ大佐は、また嘘をつくはめになりました。たぬきのくせに嘘が苦手というのも

困ったものではあります。たぬき寝入りは得意なのですが。

「じゃあ俺が十八歳になったら、その人に会わせてくれる?」

「……わかった」

「じゃ約束な。忘れんなよ大佐」

真剣な顔で念を押されます。指といっても大した長さはないのに、前足どうしをちょんと

くっつけて、指切りまでさせられました。守れもしないであろう約束ばかりが積み重なり、

大佐は内心罪悪感でいっぱいになります。ああ、なんとしましょう。

エドワードは、薄紫色をした実を二つ取り出しました。

「あっちに、おいしそうなあけびがなってたから、採ってきたよ」

季節はいつの間にか秋になり、美味しい木の実がところどころで見つかる時期でした。

「ほら、大佐の分」

小さい手で渡されます。受け取って礼を言うと、エドワードはにっこりしました。

物心ついた頃には捨て猫として暮らしていたエドワードは、このように周りの大人の

仕事や手伝いをすることが、自然な習慣として身についているのでした。そうでなければ、

ここまで生きて来られなかったかも知れません。そんな様子を見ていると、今までに

エドワードがしてきた苦労がしのばれて、大佐は切なくなります。

とれたてのあけびは甘酸っぱく、懐かしい味でした。

「おいしい?大佐」

「おいしいよ」

たぬたんぐ大佐はエドワードを見て唐突に、まるで悪魔のようだと思いました。

あまりに可愛すぎるのです。ここまでたぬき心のツボを突くとは、反則にも程があります。

その笑顔は何もかもを魅了してしまいます。あちこちにこんなふうに愛嬌を振りまかれた

日には、危険で仕方がありません。主に大佐にとってですけれど。

そこまで思い込んでいるのは自分だけとは思い及ばず、たぬたんぐ大佐はエドワードに、

誰彼構わずいい顔をしすぎては良くないと、しっかり教えなければと考え始めました。

そこに、カチカチホークアイ中尉が来ました。どんな方法で大佐の居場所をここまで

正確に把握しているのか、たぬきらしからぬオーバーテクノロジーです。

「こんにちは、大佐。ご無沙汰しております」

「君か」

「はい。今日、ブレダ少尉は非番ですので、私が代わりに参りました」

早速これを、と渡された書類に、たぬたんぐ大佐は目を通しました。

部下たちがたびたび来てくれるので、たぬき社会の様子が大佐にもしっかりと伝わって

いました。よく見るとたぬたんぐ大佐の不在を悲しむ雌たぬきたちの、旅の無事を祈る

寄せ書きまでありました。涙にくれる彼女たちを思い浮かべ、大佐はちょっとだけ

慰められました。こう見えても、大佐は評判の美男狸(びなんり)です。

「こんにちはー」

「あら、可愛い猫さんね。こんにちは」

笑顔で挨拶を交わし、少し向こうでとんぼを追いかけているエドワードを、ホークアイは

見つめました。

「…大佐」

「どうした」

「ブレダ少尉から報告を受けたのですが、あの子猫とは、ずっと一緒に旅をなさる予定

ですか?」

「そうなりそうだ。それから、あれは実は子猫ではないらしい」

「そうなんですか」

「自己申告では十五歳だそうだ」

「…了解しました」

えっまさか、などと言わないのが、この副官の優秀なところです。

「ですが大佐、あの子に錬金術を教える約束をしたというのは、本当ですか」

息をひそめて、中尉は心配そうに言いました。

「猫には、たぬきの化かし技は無理なのでは…」

「たぶん、厳しいだろう」

中尉は少し悲しそうな顔をしました。彼女は今日初めてエドワードを見たのですが、

大佐同様、この子を放っておけないと感じたのです。大佐もたぬきとしては規格外に

優しいのですが、それが伝染したのか、部下のたぬきたちも結構親切なのでした。

「旅はいいとしても、あまり期待させると可哀相ですよ」

「わかっているよ」

失礼しましたと中尉は頭を下げ、エドワードに前足を振りました。

「エドワード君、またね。気をつけてね」

「うん、ありがとう」

それが大佐が旅に出て、一週間後のことでした。

錬金術とは違う、エドワードの持つ不思議な力が花開いたのは、間もなくでした。

………続く………

もちろん「美男狸」などという言葉は存在しません(と思います)さっき考えついた造語です。

ご来訪、拍手、メッセージありがとうございます!

12/12  げーりぃさま

いらっしゃいませ!学園パラレルいつも読んで下さって嬉しいです!

話がちょっと重くなったので、書いていても切なかったですが、また続きを頑張って

いきたいです。ハッピーエンドは保証つきですので!

障子の写真に反応ありがとうございます!家の座敷は物があまりないのはいいのですが、

写真ではよくわかりませんが古い家なもので、とにかく寒くて大変なんですよー。

それから、プラスチック製の障子紙があるとは知りませんでした。紙のものと同じように

張れるんですね。そのうち探してみます!教えてくださってありがとうございました!


ENDLESS WHITE(2)

2011-12-11 17:44:36 | 更新しました

Ca3b0211

こういうのを雪見障子というのですが、雪の降らない地方の方はご存じないかしら。

家の座敷の外に積もったので、持ち上げてみました。

たぬたんぐ話も続きを書いていますので、またでき次第お目にかけますね。

ご来訪、拍手、メッセージありがとうございます!

12/10  カイさま

いらっしゃいませ!コメントありがとうございます!

クリスマス話の大佐、愛嬌がありますよね。拙宅の大佐は落ち着いているようで

いて、結構悩んだり不安になったりしているのですが、そこが人間らしさになっていれば

嬉しいです。それもこれもエドへの愛ゆえということで(笑)可愛い大佐もまた良しと

受け止めていただければ幸いです。

更新喜んでいただけて嬉しいです。楽しんで下さる方がいると、何より励みになります!

学園パラレルもまだまだ続きますので、どうかよろしく!

管理人の体調までお気遣いくださってありがとうございました。カイさまも風邪には

お気をつけくださいませ!

12/10  メグさま

いらっしゃいませ!たぬたんぐ話、お気に召していただけて何よりでした!

この後もいろいろなキャラクターが出てきますが、どんなトンデモ設定になるか

書いている方も予想がつきません(こらこら)最初は三話くらいと思っていたら、

意外と長くなり、それなら十話くらいで終わらせようとストーリーを書き出してみたら、

第一章だけでそのくらいになると今日気付きました。どんな長期戦…

ブログだと、サイトに掲載する一話分よりも短めでアップできるので、気軽に書けて

いいのですが、読者の方の読みやすさを考えると、ある程度たまったらサイトにまとめた

方がいいのかな、という気がしてきました。

たぬきって、ちょっととぼけた感じがしてユーモラスですよね。たぬたんぐ大佐とエドの

旅路の行方や、たぬき軍部の面々の様子をいろいろと書いていきたいと思いますので、

時々笑いつつ、お付き合いいただければとっても嬉しいです!


ロイ・たぬたんぐ大佐とエドにゃんのお話(4)

2011-12-10 00:32:25 | 小話

ぽてぽてちょろり、ぽてぽてちょろりと、二匹は歩いていきました。

「大佐」

「何だい」

「大佐は、手から火出す他に何ができるんだ?」

エドワードに見上げられ、たぬたんぐ大佐は説明しました。

「私は、物を別な姿に作り変えることができる」

「たとえば?」

「そうだな、こんな感じだ」

ぽてちょろと二匹は立ち止まりました。大して急ぐ用事もありませんし、ただ見せるだけなら

大佐の化かし技、おっと間違い、錬金術はなかなかのものなのです。

大佐は近くにある草花を一本摘み取りました。つぼみがいくつかついています。

そして、荷物から取り出した手帳のページを一枚切り取って、錬成陣を描いてみせます。

白い紙の上をさらさらとペンが走る様子を、猫のエドワードは初めてなのでしょう、

食い入るように見ています。

出来た錬成陣の上に草花を横に置き、大佐が両前足を、とんと陣の輪郭につけると、

ふわりとした静かな錬成光が、つぼみを包み込んで消えました。その後には、大輪の

花がひとつ咲いていました。

「へええ…!なんでもできるんだな、大佐って」

エドワードの尊敬のこもったまなざしに、たぬたんぐ大佐はちょっと得意な気分です。

「この花、もらっていい?」

「いいぞ」

エドワードは花をはさんで持ち、ふんふんと匂いをかぎます。

二匹は再び、のんびりと歩き始めました。

たぬきのブレダ少尉が土煙をあげて現れ、また書類を持ってきました。

※※※※※※※

それから二匹は、夜は空いているほら穴を見つけて中で休み、日中は時折道草を

食いながら隣村を目指しました。

幸いあたたかい季節なので風邪をひく気遣いもなく、凶暴な動物とも出会いませんでした。

大佐はたぬきですが、どんな動物も怖がる焔を自在に操れるために、危険はありません。

エドワードを連れての旅は、意外に楽しいものでした。

それなのに、いいえ、むしろそのために、たぬたんぐ大佐は、ちょっと困ったと思い始めて

いました。

エドワードは意外に聞き分けが良く、勝手に荷物をいじるなど、大佐がダメだと言った

ことはしませんでしたし、ごみはちゃんとまとめて、大佐がたき火を起こして燃やすのを

手伝いました。

大佐がありがとうと言うと、エドワードはにこにこと答えます。

「だって、れんきんじゅつ教えてもらうんだから、言うとおりにするんだ」

そして隣村に着いても、自分の家や家族をもたないエドワードは、大佐のそばを

離れようとはしませんでした。

「大佐、そろそろ、ちょっとずつでいいから教えて。れんきんじゅつ」

行儀良く座られ、大佐は査定の時とはまた違ったピンチに陥りました。

ついいきがかり上、教えると言ってしまいましたが、大佐の使う錬金術はたぬき専用に

開発されたものでして、猫に使えるとは聞いたことがありません。しかし今更、君には

たぶん無理だとは言えません。いたいけな子どもに君をだましていたんだと白状し、

夢をぶちこわすのは、どうしても抵抗がありました。

「…錬金術を使うには、免許がいるんだ。十八歳以上にならないと取れない」

苦しまぎれに即興で考えた言い訳をしながら、大佐は「一つ嘘をつくと、たくさんの嘘を

つかなければならなくなる」ということを実感しました。

「俺、十五歳だから、もうすぐだな!」

たぬたんぐ大佐はあぜんとしました。このなりで十五とは、数の数え方を間違って

いるのではないでしょうか。

しかしついにごまかしきれず、大佐は自称十五歳の猫に、とりあえず「理解」「分解」

「再構築」の、理解の初歩を教え始めました。錬金術の第一関門で、退屈で難解な、

挫折者の出やすい部分です。

それがどうでしょう。エドワードは真面目に話を聞き、順調に内容を覚えていくでは

ありませんか。できればここで飽きてしまってくれたらという大佐の期待をよそに、

「面白い!」

と、エドワードの目がきらきらしてきました。

一匹暮らしの捨て猫のエドワードは、学校に通ったことはないはずでしたが、出会った

動物たちから聞いたことを忘れずに自分の知識にしていたのでしょう。社会的な常識

には欠ける部分もありましたが、数や言葉もひととおり知っているようでした。

エドワードは、たぬたんぐ大佐の手帳を見て、自分も欲しいと言いました。偶然予備の

ものがあったので、大佐はそれをエドワードに渡しました。猫は大層喜んで、大佐が

錬成したあの花をそっと手帳に挟み、押し花にしました。

大佐は驚きました。とっくに捨てられたものと思っていたからです。花はすっかり

しおれていましたが、エドワードは大事にしていたのでした。

「俺、免許とれるかな?大佐」

大佐はあいまいにうなずきました。

あとで思えば、断るならこの時だったのかもしれません。でも、エドワードを失望させるには

忍びなかったのです。

そして、自分を慕ってくれるエドワードが可愛かったのです。

しかし、この旅は長くても一年間。いつまでも気分転換をしている場合ではありません。

化かし方を極めて、自分はまたたぬき軍部に戻らなければなりません。

そのための旅なのです。

今だけのことと自分に言い聞かせて、たぬたんぐ大佐は、毛づくろいをするエドワードを

見つめました。

………続く………

管理人の住んでいる地域近くでも、インフルエンザの波が来そうな気配です。

皆様お身体大切に…

ご来訪、拍手、メッセージありがとうございます!

12/9  りんこさま

いらっしゃいませ!コメント嬉しいですありがとうございますー!

笑って頂けてすごく良かったです。一応大佐とエドのおてては肉球をイメージして

います(笑)ペンも持てる、器用な肉球です。大佐が書類にはんこを押す時は、肉球で

梅の花みたいなはんこになるといいかな!などと、コメントを拝見して考えました。

手を叩いてもパチン!というよりはおっしゃるとおり、「ぽすん」みたいな音に

なりそうですね。エドにゃんの「今から本気出す」お気に召してくださってほっとしました!

今日、今後の展開のアイデアがだいぶ固まったので、また頑張って書きたいと思います!