Darkness Before the Daylight Blog

鋼の錬金術師、黒子のバスケにまつわる人々、漫画やアニメ、日々の楽しみ、その他つれづれ。

ロイ・たぬたんぐ大佐とエドにゃんのお話(1)

2011-12-04 18:01:58 | 小話

お絵描きチャットの話から考えついたネタです。たぬきのロイと猫のエドのお話です。

正直かなりふざけていますので、お気をつけ下さい。真剣ですが冗談です!

ロイ・たぬたんぐ大佐とエドにゃんのお話(1)

…………

昔のことです。あるところに、たぬきのたくさん住む村がありました。

もともとたぬきというのは腹黒いものですが、その村のたぬきは他の動物たちを化かし、

だますことが得意で、近くの村から恐れられていました。れんきんじゅつとやらいう、

物を別な姿に変える呪文のようなものを使うたぬきまでいると、噂されていました。

その中に、ロイ・たぬたんぐという、若い雄のたぬきがいました。

たぬたんぐは、あるたぬきの群れに所属していましたが、その群れの中ではどうした

わけか「大佐」と呼ばれていました。たぬきたちの間では、化かし方を群れの中でだけ

伝授し合うならわしがあり、軍隊の階級に似たあだなをつけていたようです。

「たぬたんぐ大佐、大総統がお呼びです」

「…わかった」

背中に火傷の跡がある雌たぬきの、リザ・カチカチホークアイ中尉が、たぬたんぐ大佐を

呼びにきました。

大佐は以前、この群れのリーダーであるキング・ぶんぶくブラッドレイ大総統に、

化かし方の定期テストを受けていたのです。年に一度の「査定」と呼ばれ、たぬきたちに

恐れられていました。

大佐はため息をつきました。まじめに修行しているのにもかかわらず、人を化かすのが、

とても苦手なのです。

二足歩行で、大佐は大総統専用のほら穴にやってきました。

「たぬたんぐ君、よく来てくれた」

「はっ。ぶんぶくブラッドレイ大総統閣下には、ご機嫌もうるわしく」

大佐が礼をすると、大総統はたぬき笑いをしました。

「先日の査定の結果だが、ギリギリセーフだ」

大佐はほっとしました。結果次第では、大佐でいられなくなるかもしれないからです。

しかし、大総統の話の続きは、意外なものでした。

「たぬたんぐ君。君は本当に努力家で、日夜修行に励み、化かしの道に邁進しているが、

公平に見て君は性格的に、たぬきに向かないのではないかと思うのだが」

「……」

大佐もそれは自覚していました。しかし、だからといってどうにもできないのです。

「それはな、私が思うに、君は優しすぎるのだ。化かすことがもともと、好きではないだろう」

「…はい」

大佐のふさふさとした茶色いしっぽが、力なく床に垂れ下がりました。

「そんなわけで私は君に、一年間の研修に出てもらいたい。この村を出ていろいろな

場所を見て、化かし方が身につけば良し、それ以外のたぬきとしての生き方を

見つけられたらそれも良しだ。生活の方は保証するから、次の査定の時期に戻って

きてくれないか」

これは、ていのいいやっかい払いという奴でしょう。しかし、大総統は続けました。

「君の錬金術の才能は、底知れないものがある。しかし今の環境では、それを十分に

開花させてやれない。何が足りないのか、私ではわからない。この狭いほら穴から出て、

広い世界を見てきたまえ」

それは嘘とは思えませんでした。大佐は荷物をまとめ、旅立つ準備をしました。

荷物っつったら、棒にくくりつけた風呂敷包み一つだけです。

「大佐!!」

ホークアイ中尉と、たぬたんぐ大佐よりももっと若い、雄たぬきが見送りに来ました。

ジャン・むじなハボック少尉です。

彼も化かすのは苦手なのですが、商売の才能があるので重用されていました。

三人、いいえ三頭は向かい合い、なんともいえない気持ちで互いに頭を垂れました。

先にしっぽに力を入れて元気に持ち上げたのは、大佐の方でした。

「私は行ってくるよ。必ず、立派に化かせるようになってみせるさ。またな」

大佐は笑顔で橋を渡り、広い広い世界へと、一歩踏み出していきました。

………続く………

我ながら妙な話ですが、なんか一生懸命考えてしまいました。

恋愛要素も(一応)ある予定です。

書いていいとお許しくださった某様、ありがとうございました!

ご来訪、拍手ありがとうございます!