Darkness Before the Daylight Blog

鋼の錬金術師、黒子のバスケにまつわる人々、漫画やアニメ、日々の楽しみ、その他つれづれ。

リゼンブール小学校2年3組 遠足の話 また続き

2013-06-29 23:57:55 | 小話

まずは拍手コメントお返事から!!!

6/25 まあこさま

いらっしゃいませ!!コメントありがとうございます!

タオルのお話教えてくださってどうもです!早速今回の話に使わせていただきました。

ロイ先生もきっと気に入ると思います~~~。

じゃんけんのかけ声は、諸説ありますが、「最初はグー、またまたグー、いかりや長介、

頭がパー!」という志村けんのコントだったらしいです。全国区で定着しているみたいですね。

また楽しんでいただければとっても嬉しいです!!

………………

まず、ロイはお弁当をひろげている各グループの様子を見て回った。子どもたちには、

「お弁当はおうちの人に作ってもらうと思うけど、荷物をリュックにつめるのは自分で

やりなさい」と話している。さもないと何がどこに入っているのかわからない事態が起きる

からだ。それでも箸箱に箸が入っていない子や、体調の悪くなった子がいないかどうか、

まずは一度確認する。

幸い目立ったトラブルはないようで、エドワードはお弁当箱のふたがなかなか開かないと

言って、ちょうどそこに現れたロイに開けてもらってご満悦だった。密閉性の高い容器だと

たまにこういうことがある。

先生チームは見晴らしの良い場所に敷いたブルーシートの上に集まり、急いで仕出し

弁当をかっこむ。唐揚げや焼き魚、炊き込みご飯が彩りよく並んだ美味しいものだった。

ロイも若い男なので、学生の頃はふと、こういう給食のない日には同僚の若くて綺麗な

独身の女先生がお弁当を作ってきてくれたり、それがきっかけで恋が芽生えたりなんか

するんじゃないかと思ったことも、まあ、ないではない。だが実際に採用試験に受かって

現場に来てみると、みんな忙しいのでそんなことはどこを探しても起こらない。初めての

遠足の二週間ほど前に、会議で「遠足の日のお弁当を注文します。不要の先生は

申し出てください」との話を聞き、ロイは以前抱いた夢というか妄想絵空事を、一度も口に

出さなくて本当に良かったと思ったものであった。

ごみを分別した後、大人たちは前もって決めておいた場所に散らばり、子どもにけがが

ないように見張る。公園の周囲には木がたくさんあるので、ハチ、毛虫などの虫にも注意が

必要だ。下見には来ているが、自然の生き物についてはその時でないと、出現するか

どうか予想がつかないところがある。

正直長く歩いた後なので、ロイは食後もう少し休みたかった。だが子どもたちは元気で、

二十分も経つとおやつもそこそこに、遊具にとびついて遊びだすのだ。よく食べた直後に

運動できるものだと思う。ロイは「子どもは大人と違い、走り回って血行をよくすることで

疲労回復している」というトンデモ説を提唱している。

ふと見ると3組の子どもが、ぶらんこの近くで頭をおさえていた。行ってみるとどうやら、

ぶらんこから降りた時、ハンカチを落としたのでしゃがんで取ろうとしたところ、まだ動いて

いたぶらんこの座面が、ちょうど戻ってきた形でおでこに当たったらしい。手をどけさせて

みると小さなこぶができていた。

「あらら、痛かったね」

そこに担任のマリア・ロスが来て、保冷剤の入ったタオルを当ててやった。

「それ、いいですね」

細いタオルに、保冷剤を入れることのできるポケットがついているのだった。

「近頃いろいろ便利なタオルがあるのよ」

マリア・ロスに教えてもらい、本格的な夏を前に、ロイも一つ買ってみようと思った。


リゼンブール小学校2年3組 遠足の話 つづき

2013-06-24 22:47:47 | 小話

そしてしばらく一行は歩き続けた。四十分ほど経ったところで、水分補給のための休憩に

なった。

この徒歩遠足を始めて経験する1・2年生は、スタートして少しの間は、しりとりをしたり、

行き交う人たちに挨拶したりするゆとりがあったのだが、次第に疲れてきて口数が減り、

目がすわってきて、黙々と歩くマシーンと化していた。ロイもまた、通過する車を警戒したり、

時折子どもたちの歩く姿を写真におさめたり、横断歩道で渡るタイミングを指示したり

するのに忙しかったので、ようやく一息つくことができ、タオルで何度か汗を拭いた。

このタオル様は首にかけてよし、汗を拭いてよし、頭にかぶってよし、洗った手を拭いて

よしというまさに万能アイテムである。先生たちはそれぞれに好みの色合いのタオルを

たくさんもっているのである。

帽子を一時脱いでペットボトルの栓を開けると、気持ちの良い風が吹き抜けていった。

「先生、何飲んでるの」

「スポーツドリンクだよ」ロイは答えた。

「ぼく麦茶」

「わたしお水」

アルフォンスが、昨日エドワードと一緒に近所のコンビニに行って、今日のために好みの

おやつと飲み物を買ったことを嬉しそうに話してくれた。きょうだいのいないロイはこういう

話を聞くのが大好きである。

「お兄ちゃんと買い物に行ってよかったなあ」

「うん。3年生の人も買い物してたよ」

「そうか」

そこまで話したところで再出発となった。

そしてさらに三十分歩き、目的地の公園に着いた。一度整列して集合写真を撮り、トイレ

休憩と諸注意の後はグループごとに遊ぶ。例年、高学年の子どもたちが何をして遊ぶか

計画しておいてくれるのだ。ロイの班はビーチボールを使ってのドッジボールだった。

まずは最初に外野に出る子を決める。希望者が多かったので、じゃんけんでの対決と

なった。

「最初はグー!」

このかけ声はドリフターズの志村けんが考案し、コントの中で使用したのが発端で

全国に広まり、定着したのだといわれている。ロイは若いのでそれをよく覚えていなかった

のだが、主任のマダム・クリスマスに教えられ、どの学年の子どもたちも当たり前のように

このかけ声を使うのを見るたび、ドリフの偉大さを実感するのである。

「そーれ!」

空気をゆるめに入れたビーチボールがぽふん、ぽふんと飛び始めた。当たっても痛く

ないし、簡単に掴むことができるので小さい子でも安心である。なごやかな雰囲気で

ゲームが進んだ。

その後は公園を散歩し、十一時をまわったところでお昼である。


リゼンブール小学校2年3組 遠足の話

2013-06-23 23:56:55 | 小話

今日は子どもたちが楽しみにしている遠足である。教室には、子どもたちが作った

てるてるぼうずが人数分、つるされていた。

ロイの学校では、バス遠足と徒歩遠足が毎年交代で行われる。今年は徒歩だった。

それぞれにいいところがあり、どちらも子どもたちに経験させたいということから隔年実施に

なっているのだった。

バスは遠くに行けるが、費用がかかり、雨天の時にキャンセルできない場合は

裏メニューの行き先を考えておく必要がある。また、バスに酔いやすい子の世話も必要だ。

運転手さんに挨拶をするように 指導し、バスの乗り方について指導しと、手間もいろいろ

あるが、それらの経験が修学旅行で役立つのである。

そよ風が吹いていて、空はちょうどいい薄曇りだった。熱中症が出ては大変なので、ロイは

安堵した。

目的地は5キロメートルほど離れた場所にある広い公園だった。小一時間ほど歩いていく。

8時前に教室の席は全部埋まり、机の上には水筒とリュックがのっかっている。

「お弁当持ってきた人?」

「はいっ!!!」

全員の手がまっすぐ挙がり、ロイはほっとする。

健康観察、トイレなどをすませてグランドに整列する。学級ごとではなく、1年生から6年生

までを均等に分けたグループで歩くのだ。1班から順に、1年生は6年生に手をつないで

もらって、いよいよ出発した。

ロイも自分の担当する班について歩き始めた。エドワードはロイの班ではなく、少し先を

歩いている。先ほどロイに手を振ってスタートしていったので確かだ。ロイの班には、

エドワードの弟であるアルフォンスがいた。

「お兄ちゃんの先生だー」

「そうだよ」

初めてこの班のメンバーで顔を合わせた時、アルフォンスはあどけない笑顔でロイを

見上げて言った。今ではだいぶ慣れて、「ロイ先生」と名前も覚え、話しかけてくる。

「お兄ちゃんはおうちでも元気にしてるかな」

やんちゃぼうずのエドワードについて、歩きながらそう尋ねてみると、アルフォンスは

小首をかしげた。

「お兄ちゃん、ちゃんと牛乳のみなさいってしかられてる」

「お母さんにかな?」

「うん」

アルフォンスは普通に牛乳が飲めるらしいが、エドワードは給食のたびにため息を

つきながら、それでも頑張って飲んでいるのだった。

「そうか、お兄ちゃんを応援してあげてくれよ」

「うん。ぼく、ときどきこっそり、かわりに半分のんであげてる」

なぜ半分かというと、一度全部飲んでやったら、エドワードの口のまわりに牛乳の白い

ひげがついていなかったので、一連の工作が露見したのだそうだ。

そしてアルフォンスはニンジンが苦手なので、交換といってはなんだが、代わりに

食べてもらっているのだという。

「先生、ひみつだよ。お母さんにはないしょにしてね」

ロイは笑って頷いた。

………

ここしばらく、なかなかお話がかけなかったので、リハビリしつつまた始動!!

少しでも楽しんでいただけたら幸いです!!!

ご来訪、拍手ありがとうございます!


8/18(日)SUPER COMIC CITY大阪に参加します

2013-06-22 01:11:57 | 日常

直参はできなさそうですが、合同サークルで参加させていただくことになりました。

新刊だせるように頑張ります、と背水の陣をひいてみました。

サイトの更新に手が回らず大変申し訳ない状況の中、拍手やメッセージをいただきまして

本当にありがたく感謝しております。嬉しいです。

しかも返信不要とお気遣いまで…(感涙)

お優しい言葉の数々に元気がわいてきました。ありがとうございます!

暑い毎日、皆様もお身体大切にお過ごしくださいませ。


もりのおく くまのおやこ ことりのうた

2013-06-07 21:08:36 | 日常

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例によって近くの山道です。まだ新緑といっていい色をしています。

白樺とぶなと、あとは何の木かな。

もう少し上に昇ると、場所によってはまだ少し雪が残っていたりします。

こういう道は、真夏でもどこかひんやりとして、セミや鳥の声だけがして静かです。

よそ(都会)から、どなたかおいでになったら、ここをご案内したいなと思うのですが

ただずーっと、ずーっとこういう道が続くばかりで、まあ多少の景色の変化はあるものの

先に何か楽しめる施設があるわけではなく、自然だけなので、

こういう道そのものを楽しめる方でないと、退屈させてしまうかな。

ご来訪、拍手ありがとうございます!