WBCスーパーウェルター級タイトルマッチ
5階級を制したスーパースター、35歳のシュガー・レイ・レナード選手(Ray Leonard)が23歳の若き王者テリー・ノリス選手(Terry Norris)の保持する王座に挑戦した一戦は、レナード選手が王者のスピードに全く付いていけず、予想外の圧倒的な大差の判定でノリス選手が勝利した1991年の試合でした。
トーマス・ハーンズ、マービン・ハグラー、ロベルト・デュラン、そしてレイ・レナード。この4強による80年代中量級黄金時代の中心であり続け、史上初の5階級を制したビッグネーム中のビッグネーム、レナード選手。
対するは23歳のノリス選手。約1年前にジョン・ムガビ選手に初回KO勝ちして掴んだ王座を1度防衛中のスピードのある若い王者ですが、世界初挑戦となった89年の対ジュリアン・ジャクソン戦での痛烈なノックアウト負けの印象が強烈で、レナード選手にとって14ヶ月ぶりの試合、35歳の年齢、加えてミドル級以下での試合は7年近く前の試合が最後、などの不安要素があったものの、多くの人がレナード選手の順当な勝利を予想していた当時の状況だったように記憶しています。
しかし試合はノリス選手のスピード抜群の切れまくるブローが終始圧倒。
素早く動くステップワークを駆使しながらのジャブ、右ストレートでレナード選手の接近を阻み、レナード選手のステップインには鋭い左フックを合わせます。接近を許した場面でも回転力とパワーで優るノリス選手の攻撃が終始優勢。
試合中何度か鋭い攻撃を見せて会場のニューヨーク・MSGの観衆を沸かせていたレナード選手でしたが、その度にノリス選手のシャープな反撃を返されます。2回に左フック、7回に右フックでレナード選手がダウンも喫する想像できない一方的な内容が続いていきました。
試合終盤はロープを背にしながらノリス選手の攻撃を凌ぐのがやっとの場面の連続で(レナード選手が効いた演技を交えながら誘っていた面もあった?)ノリス選手の速い足とパンチに為す術無く打ち据えられるグレートの姿はショッキングなものでした。
ノリス選手の素晴らしいパフォーマンスに驚いた試合でしたが、また同時に驚かされたのが16ポイント差が2人いた公式の採点結果でした。(119-103,120-104,116-110)
採点結果が告げられた直後にリング上で引退を表明したレナード選手。引退と再起を繰り返しながら時代を牽引してきたスーパースターの正真正銘のラストファイトになった試合でした。(6年後の97年に試合やりましたがw)
一方センセーショナルなパフォーマンスで一気に注目を集めたノリス選手。この試合の後、ドン・カリー選手にも圧勝してボクシング界を代表する選手へと大きく成長していきました。
世代交代がこれほどまでにはっきりと現れた試合ってのもそう無いんじゃないでしょうか。とても印象に残っている試合の一つです。
Terry Norris vs Sugar Ray Leonard HD
2008-11-13 19:07:16
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リング上で試合後レナードの引退宣言「This is my last fight」が強く記憶に残っています。
またその時横にいたノリスが自らのアイドルだったシュガーレイを引退させたことでの複雑な表情も印象的でした。
カマチョとの試合はまあ置いておくとしてwこの対ノリス戦での内容に驚いたファンは多かったと思うのですが、レナード選手自身が誰よりも驚いたのではないでしょうか。
どんなに偉大なボクサーでも晩年に自らの力量を見誤ってしまうケースはよくありますよね。
晩年に無残な姿を見せたからといって、その事がその選手の全盛時の偉大な実績を損なうものとは思いませんが、キャリアの終え方ってのは難しいんでしょうねぇ。
レナードほど賢い選手なら、自分の衰えと相手の能力を計った上で「勝利の自信あり」と挑戦したのだと思っていたので、惨敗は意外でした、が、youtubeで対カマチョ戦を見ますと、なすすべなく打たれていたので、実は賢くないのかも?と思いました。
おっしゃる通りですね。この試合のときのダウン後の加撃なんかは、後方に大きく弾けとんでダウンしたレナード選手に走っていって加撃、で
勢い余っての、ってのとは明らかに違うものでしたよね。
サンタナ相手に回り道を余儀なくされた時には気の毒に思うよりもバチが当たったか、と感じてしまいましたw
それにしてもasikawaさんの記憶力は素晴らしいですね。カリー戦のダウンシーンとか私ほとんど覚えてませんよw
なんか夜の屋外での試合だった、、違うかも・・・ぐらいの記憶しか無いッス。。youtubeで探してみてみますw
レナード戦もカリー戦もそうでした。
それがあるのであまり好きになれません。
サンタナ戦はそんなクセが裏目にでた感じでした。