WBAスーパーライト級タイトルマッチ
アーロン・プライアー選手(Aaron Pryor)とアレクシス・アルゲリョ選手(Alexis Arguello)との10ヶ月ぶりの再戦となった83年9月の試合は、プライアー選手が10回ノックアウトで勝利してスーパーライト級王座8度目の防衛に成功した一戦でした。
野獣プライアー選手の嵐のようなノンストップ攻撃と驚異的なタフネスが4階級制覇を目指すアルゲリョ選手の野望を打ち砕いた第一戦。10ヶ月ぶりの再戦となったこの試合では両者のパワーの差、耐久力の差がより明白に現れた内容でした。
初回に右ストレートで、4回には左フックでダウンを奪ったプライアー選手。最後は10回に猛烈な連打を浴びせてのノックアウト勝利でした。
ただ、この試合は前戦以上にアルゲリョ選手の良さが出た一戦にも感じられました。前戦では足を使いながらのアウトボクシングが非常に有効だったプライアー選手ですが、この試合では足はほとんど使わずに中間距離でのパンチの差し合いからチャンスを狙う戦い。
しかしこの中間距離での攻防ではアルゲリョ選手の技巧が生きます。挑戦者の鋭く正確な右ストレート、左フック、右アッパーなどのカウンターが王者を捕える場面が何度もあって、ダウンを奪われたラウンド以外ではアルゲリョ選手がペースをほぼ支配していた内容でもありました。
しかし、そのペースを一発のパンチ、正確には一発当ててからの怒涛のコンビネーションで一気に形勢を逆転をさせてしまうプライアー選手のパワー。
そして前戦同様に強いパンチをいくら決めても全く弱らないプライアー選手の驚異的なタフネスにアルゲリョ選手の体力、気力が徐々に奪われていったようにも見えた試合でした。
フィニッシュの場面。プライアー選手の強打を浴びまくってダウンをしたアルゲリョ選手が体育座りのような格好でレフェリーのカウントを聞いていた姿、表情がとても印象的です。
2年前のパッキャオ対モラレス第3戦のフィニッシュの場面で、この有名なシーンを思い出したファンも多いのではないのでしょうか。
時代を代表する名ボクサー、アルゲリョ選手でしたが4階級目を狙った相手が悪すぎました。ですがあえてこのクラス最強の王者プライアー選手に果敢に挑んでいった男気もいまだにファンの共感を呼ぶ理由の一つでしょう。
逆にプライアー選手は眼疾や薬物依存など、晩年はあまり良い話しは聞こえてきません。圧倒的な強さの王者時代の光り輝く姿を知るものにとっては寂しい限りですねぇ。
アルゲリョ選手の生涯成績は90戦82勝(65KO)8敗。
プライアー選手は39勝(35KO)1敗。
アーロン・プライアー対アレクシス・アルゲリョ(1982/11/12)
2008-11-07 19:09:43
最新の画像[もっと見る]
「classic」カテゴリの最新記事
- classicリスト
- ホエル・フリオ対カルロス・キンタナ(2006/06/24)
- ジョニー・ゴンサレス対フェルナンド・モンティエル(2006/05/27)
- ザブ・ジュダー対フロイド・メイウェザー(2006/04/08)
- クリス・ジョン対ファン・マヌエル・マルケス(2006/03/04)
- セレスティノ・カバエロ対ダニエル・ポンセ・デレオン(2005/02/17)
- ダニエル・サントス対アントニオ・マルガリート(2004/09/11)
- フロイド・メイウェザーJr対デマーカス・コーリー(2004/05/22)
- ファン・マヌエル・マルケス対マニー・パッキャオ(2004/05/08)
- レノックス・ルイス対ビタリ・クリチコ(2003/06/21)
間違いないと言われた中でプライアーに挑戦したところが
アルゲリョが尊敬されるひとつと思われます。
戦績は改めて見ると余計な負けが無く、脅威的ですね。
逆にプライアーの戦績は余計な負けが惜しまれます。
そうですよね。あえて強いプライアーへの挑戦を選んだってところにアルゲリョ選手のカッコ良さ、強さ、プライド、いろいろな物が映っていると思います。
後に複数階級制覇の記録を作った選手たちの偉大さは大いに認めるところではあるのですが、アルゲリョ選手が届きそうで届かなかったこの記録の価値・ハードルが下がってきていることは確実でしょうね。
最近出たノンフィクション「神様のリング」は、在米ライターの
筆者が仲立ちをして、プライアーと彼に挑んだ日本人の
亀田氏の四半世紀ぶりの再会を軸に書かれた作品ですが、
アルゲリョ戦の経緯も書かれてて興味深いものでした。
http://www.amazon.co.jp/dp/4062155605/
”歩いて走れればボクシングができる”といった名言を残した人ですね。
発言の内容は天才と呼ばれる人のものですね。
プライアー挑戦時は”弁護士を目指すボクサー”とかで米国で知られてたが、
実はその当時は弁護士を目指してなかったとかありましたね。
プライアーも亀田の実力を高く評価していたということも聞いたことがあります。
亀田と龍反町の試合はどこかで見てみたいです。
この本が出たことは知ってはいました。林さんのブログRSS登録していますし。
出たことは知りつつ今までスルーだったわけですが、そういった話を聞くとこれは買わないとダメですね(笑)
仕事が一段落したら購入します。
>Ike Quartyさん
ニコ動で古めの日本人世界戦動画が定期的に上がるので期待したいところ。ちょっと探してみましたが見つかりませんね。私も見たいです。