なんくるないさ~、沖縄での研修医生活

臨床研修のメッカ沖縄にあって忙しさNo.1を自負する中部徳洲会病院。スーパー研修医がリレーでつづる研修医ブログ。

食事療法 予想以上の効果 インスリン抵抗性の改善 ダイエット外来 徳洲会ソフィアクリニック

2008-12-09 20:43:17 | Weblog
咀嚼法+食事療法からなるダイエット外来を開始して1ヶ月、体重の変化はすでに報告のとおり個人差はあるものの、みなさん順調に経過しています。1ヶ月経過したのでヘルスチェックを兼ねて、血液検査にて肝機能と腎機能を評価しました。皆さん良好でした。

驚くべき報告があります。
今回採血した方には2名の高インスリン血症の方が含まれておりました。
高脂血症も合併していました。
私達の推奨している食事療法だと理論的にはインスリンも低下するし高脂血症も改善することが期待できます。
実際の数値を見て、私はしばらく目が点になりました。心拍数も急上昇です。

以下はそのままのデータです。ご本人のご了解を得ていますが、プロフィールはぼかしておきます。

症例1 若い男性
        11/6 12/4
GOT     63    42
GPT     151   86
γ-GTP    71    34
T-cho    181   158
TG      269   159
Glu      100   83
インスリン  266   11.4

症例2 中年女性
       11/6   12/4
T-cho    230    174
TG     360     70
Glu     112     65
インスリン  56     1.7

驚くべきはインスリンの値です。インスリンは血糖を下げる唯一のホルモンですが、血糖を下げる仕組みとは血中の糖を肥満細胞に蓄積することです。人間の体は、肥満を作って血糖を下げています。インスリン分泌が少なくてすむということは肥満にならないということです。またこのお二人のようにインスリン値が異常に高いのは、インスリンの効きが悪い、すなわちインスリン抵抗性が高い状態であり、いわゆる糖尿病予備軍ということです。お二人ともHbA1cはまったくの正常であり、従来検査されていたHbA1cでは早期発見はまったく不可能ということです。検診で糖尿病のチェックとしてHbA1Cを計って、異常が出ているようではかなり進んでいるということです。

厳密な意味でのインスリン抵抗性は、ぶどう糖負荷試験(75gOGTT試験)をせねばなりませんが、一般的には血糖値とインスリン値から計算されるHOMA-Rという指標で評価できるとされています。お二人ともすでに正常範囲です。

コレステロールやTG(中性脂肪)も1ヶ月でほぼ正常化しています。症例2の女性は数年にわたり高脂血症の状態が続いていた方です。効果てきめんです。

まだお二人のデータしかありませんが、いずれはダイエット外来を受診されている方すべてのデータをまとめて、きちんと学会報告したします。乞うご期待。

徳洲会ソフィアクリニック ダイエット外来担当医 今西康次