押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

宮澤喜一回顧録 御厨貴・中村隆英編 岩波書店¥2200-外税

2006-10-27 01:22:43 | 気になる本
年次改革報告書ーその2で宮澤首相とビル・クリントン大統領がそもそも年次改革報告書の下地の話を始めたとあったので、この本を読んだ。
面白くなかった。宮澤という人は太平洋戦争の始まる前に日米学生会議で米国の大学へ行っている。彼の流暢な英語はその頃身につけたものらしい。戦争中に大蔵省へ入り、それから戦後も大蔵省で過し、大蔵大臣秘書官を拝命している。ここで戦後政治に関わっている。更に大蔵省を辞める直前に講和会議に全権随員として加わっている。そして参議院議員となり、政治に全面的に関わる事になる。経済、財政関係の要職を歴任し、1967年には衆議院議員となっている。
中略
ビル・クリントンとの話し合いでは宮澤首相はもう内閣不信任案は通過していたので、貿易赤字の解消の数値目標を議論しよう、と言う案件をレイムダックだからと言って断ろうとした、とある。こうした大きな問題になるとは思っていなかったらしい。
この方は何が起きてもケロッとしている御仁のようだ。この件もそうだが、現在の赤字国債の半分以上はこの方が作り出したものだが、それにつしても格段の反省はない。
良く言えば覚めている、悪く言えば鈍感のようだ。ケインズを勉強したと書いてあったが、ケインズ理論が線形の範囲では成り立つが、それを非線形の領域まで広げたことの認識は全くない。大体、非線形と言う言葉をご存じないようだ。

・・・と言う訳で、甚だ不愉快な本だが、一級の資料であることは認めなければならないだろう。日本が戦争で失った物のある部分を回復し、また失いつつある今日、そうした視点で読み直すと、彼からではなく、学ぶ事は多々あるようだ。


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