知らない世界へ帰りたい(日本探求)

自分の祖先はどんなことを考えていたのか・・・日本人の来し方、行く末を読み解く試み(本棚10)。

「イザベラバードの日本紀行」(by 三谷幸喜)

2020年08月15日 14時49分45秒 | 原発
 イザベラ・バードは、明治初期に日本を1人で旅行したイギリス人女性。
時々TV番組で取りあげられるので、なんとなく概要は把握しています。
彼女の著作も何冊か所有していますが、TV内容で満足してしまってほとんどインテリア化。

 以前、栃木県の日光金谷ホテルに宿泊した際、ヘレン・ケラーやアインシュタインの宿泊記録と共に、バードのサインも展示されていたことを記憶しています。

 さてこの度、YouTubeでラジオドラマ仕立ての日本紀行を見つけました。
演出は三谷幸喜。
1時間半くらいで、ダイジェスト版を聞くことが出来ます。



 日光金谷ホテルの前身である宿屋についての記述はとても好ましもので、彼女がここの宿泊を心の底から楽しんでいた様子がうかがわれます。
なにせ、他の宿はおしなべてノミにまみれ、障子の穴からたくさんの目に覗かれ続けて、心休まる暇がなかったのですから。
 函館に教会に到着して鍵のついた洋風の部屋でくつろぐ喜びを述べる下りは、本当にうれしそうで、他の宿がいかにひどかったかが想像されます。

 青森県の黒石で出会った七夕祭りの描写は、幻想的な光の祭典に虜になった様子がありありと感じられます。
 この祭、現在の「ねぷた祭」の原型であると解説されていました。

 私は大学生時代、青森県の弘前市で過ごしたので、ねぷた祭を少し覗いたことがあります。まだ電気のなかった時代に、提灯の明かりが飛び交うさまは、さぞかし魅力的だったことでしょう。

 全体を通してバードが描写し感心しているのは、出会った日本人たちの真面目さと律儀さ。
車夫やお茶処で向こうに少しでも粗相があると、頑として料金を受け取らない。子どもはよく教育されており、礼儀正しい。

 なんだか現在の日本の方が乱れているような気がしてきました。

 ただ、服装や外見はけちょんけちょんに表現しています。「みすぼらしい」「きたない」などの単語がポンポン出てくるのです。

 総じて、明治時代初期の庶民の生活を描写した貴重な資料になっていると思います。自分の祖先達は、こんな感じで生活していたんだなあ。


イザベラ・バードの日本紀行
 J-WAVE開局25周年記念の特別番組として、10月1日から放送される「UNBEATEN TRUCKS IN JAPAN イザベラ・バードの日本紀行」のテーマ音楽を久石譲が担当いたしました。
 同番組は、明治維新直後の日本各地を旅したイギリスの旅行作家イザベラ・バードの書簡集『イザベラ・バードの日本紀行』をもとに、三谷幸喜氏がリーディングドラマとして作品化したもの。
企画・構成・演出・ナビゲーター:三谷幸喜 
朗読:松たか子 音楽:久石譲 放送日:2013年10月1日(火)ー10月11日(金)23:45-24:00 放送局:J-WAVE (81.3FM)

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