私は日本の仏教があまり好きではありません。
一応、曹洞宗のお寺にお墓はありますが。
なんていうかな・・・釈迦の教え(原始仏教)が世界に広まる過程で、
いろんな地元宗教を飲み込んでいき、
ずいぶん姿を変えてしまっていると感じるんです。
例えば、修行で痩せたイメージのある釈迦です。
修行しても覚りの役には立たないと釈迦は覚り、
厳しい修行を捨てたと聞いています。
でも、日本の曹洞宗(道元)などは、今でも必要以上に厳しい修行を課しています。
釈迦の教えでは「男女平等」でした。
しかし「男尊女卑」思想のあるバラモン教の影響で、
いつの間にか日本仏教でも「男尊女卑」が当たり前になっていました。
そんな流れに異を唱えたのが鎌倉時代に生きた日蓮です。
異を唱えれば、抵抗勢力が発生します。
彼は時の政府(鎌倉幕府)寄りの宗派から迫害を受けたり、
えん罪を突きつけられたり・・・。
おかげで伊豆に左遷されるは、
死刑で向かったはずの佐渡に流されるは・・・
波瀾万丈の生涯だったようです。
さてこの番組は、日蓮の残した著書ではなく、
彼が門徒や弟子やその奥さんに書いた手紙を紹介する内容です。
するとどうでしょう。
説教臭い要素は一切感じられず、
ときに顧問弁護士だったり、
時にカウンセラーだったり、
相手を思いやる気持ちにあふれた手紙の数々なんです。
武士の時代にあって、
「女人も男子と同じ、イヤそれを越えてエライ」
なんて発言すれば、闇討ちに遭いそうですよね(実際合ってます)。
悪いことばかり降りかかる女性に向けては・・・
彼女は夫を早くして失い、長男も失い、三男も失い、
慰める言葉が見つからない境遇です。
彼女に日蓮は、
「◯◯さんの方が不幸だから大丈夫」
とかで慰めることはしません。
その時代に起こった蒙古襲来。
戦うために九州に出向く夫と、
すがりつく妻。
世の中にはいろんな悲しみがあります。
そちらに目を向けてはいかがですか?
という離れ業のカウンセリングをしたのです。
とにかく、希有な思想家だと思いました。
すごいのは、どんなことがあっても、どれだけ迫害されても、
それを一生貫いたこと。