雨の日にはJAZZを聴きながら

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J.D.Allen 『 In Search Of 』

2008年02月19日 22時51分45秒 | JAZZ
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前回取り上げたジェラルド・クリーヴァーの新作『 Gerald Cleaver’s Detroit 』にも参加していたD.J.Allen( 1972~ )のデビュー・アルバム『 In Search Of 』(1998 Red Records )です。彼はG・クリーヴァーと同じくデトロイト出身で、同郷のジェームズ・カーター( 1969〜 )よりも3歳若いことになりますが、ジェームズ・カーターに比べほとんど世間では知られていない吹き手です。少なくとも日本には彼のファンはほとんど生息していない模様。実際、インターネットで検索し彼の情報を収集しようと思っても、ほとんどヒットしません。辛うじてウィキペディアに簡単なバイオグラフィーが掲載されているだけです。そんな知る人ぞ知る存在であるD.J.アレンですが、現在はトリオ編成で、Smalls, Fat Cat, Jazz Standardsなどのニューヨークのクラブを拠点として活動しているようです。また1999年以降にはCindy Blackman (シンディー・ブラックマン)のバンドに参加し作品も残しています。その一方では、デイヴ・ダグラスの“ Don Cherry’s Symphony Improvisers ”というプロジェクト・メンバーに名を連ねたりもしています。私の知る限り彼のリーダー作は本作『 In Search Of 』と2001年にCriss Crossに吹き込んだ『 Pharaoh’s Children』だけですが、ウィキのバイオによると、2007年に『 I AM – I AM 』というタイトルのトリオ編成の作品があるようですが、それ以上の情報は全くつかめず詳細は不明です。ということで、私の手元には2枚のリーダー作と,サイドメンとして参加している諸作品、Russell Gunn(ラッセル・ガン)の『 Blue on the D.L. 』、Fabio Morgera (ファビオ・モルジェラ)の『 New Hopes 』『 Colors 』『 Slick 』、それから Orrin Evans(オリン・エバンス)の『 Easy Now 』などがありますが、それらの中でもぶっちぎりで出来が良いのがこのデビュー作です。赤、黒、白のあまりセンスが良いとは言えないレタリングに、チープなD.J. アレンのコラージュ。どうみても手抜きジャケットなのですが、内容は素晴らしい出来です。矢継ぎ早に畳み掛けるコルトレーン・マナーに則った激しいブローからは、 ストイックなまでに自己練磨を続ける真摯な音楽的意志が伝わってきます。また、ロドニー・グリーンの激しい煽りもたまりません。 一瞬、コルトレーン=エルビンの図式が頭をかすめます。なお、本作で彼は1999年のイタリア新人最優秀賞を獲得しています。 このデビュー作以降の彼のスタイルは、時にエリック・ドルフィー風であったり、時にPost-Bop流儀の浮遊系であったりと、いまひとつ統一感に欠ける印象があります。悪く言えば、自分が選択すべき方向性を暗中模索している状態。でもたぶん、ヴァーサタイルな器用なミュージシャンなのでしょうね。J.D.Allen  『 In Search Of 』 1998 Red Records 123283-2J.D.Allen  (ts)Fabio Morgera  (tp)Eric Revis  (b)Rodney Green  (ds)Shedrick Mitchell  (p)J.D.Allen  『 Pharoah's Children 』  2001 Criss Cross 1221全体の音の感触は、デビュー作に比べてぐっと現代的。Fabio Morgera  『 New Hopes 』 2001 What's New Records  WNCJ2105現在はニューヨークで活躍中の片腕のイタリア人トランペッター、ファビオ・モルジェラの作品群にもD.J.アレンはよく登場します。90年代に一世風靡したアシッド・ジャズ・ムーブメントで有名になったモルジェラですが、ブームが去った後は、ここで聴かれるような真面目なハード・バップを演奏しています。爽やかでどこか懐かしい60年代ブルー・ミッチェルを彷彿とさせる好盤です。Russell Gunn 『 Blue on the D.L. 』 2002 High Note Records HCD70871曲だけJ.D.Allenが参加。ここでは音の跳躍が激しいエリック・ドルフィー風の尖ったソロを展開しています。