雨の日にはJAZZを聴きながら

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Luciana Souza 『 The New Bossa Nova 』

2007年10月14日 05時37分47秒 | JAZZ

ニューヨークを中心に活躍するサンパウロ生まれのボサノヴァ/ジャズ・シンガー、Luciana Souza (ルシアナ・ソーザ)。最近ではハービー・ハンコックの『 River 』やマリア・シュナイダーの『 Sky Blue 』(前項あり)にも客演し、12月には来日も予定( Cotton Club ) されている彼女のVerve移籍第一弾、通算7作目となる最新作がリリースされました。

プロデューサーは彼女の夫君でもあるLarry Klein (ラリー・クレイン)。彼はジョニ・ミッチェルの元・夫君で、昔は夫婦で組んで数多くの作品をヒットさせました。最近ではマデリン・ペルーやティル・ブレナーらのプロデュースでも大成功をおさめた凄腕プロデューサーです。

前作ではホレロ・ルバンボ(g)をはじめ4人のギタリストとのデュオ形式で、ポルトガル語でのブラジルの優しい風を届けてくれたソーザですが、本作ではスティーリー・ダン、ジェームス・テイラー、スティング、ブライアン・ウイルソン、マイケル・マクドナルドなど、70年代~80年代のPOP/ROCK の名曲をボサノヴァにアレンジしてカヴァーし、移籍第一弾にふさわし新境地を切り開いています。

全編英語で歌っているためサウダージ感は希薄ですが、彼女の優しく深い感情のこもった歌声で綴られる懐かしい美メロは、極上の安らぎを与えてくれます。しかし単なる能天気な癒し系ボサノヴァ作品ではなく、ニューヨークの洗練されたインテリジェンスが漂うボサノヴァ作品に仕上げるところが流石です。

サポート・ミュージシャンも盟友ポレス・ルバンボはもちろんのこと、以前から共演しているエドワード・サイモンや、クリス・ポッター、スコット・コリー、アントニオ・サンチェスらなど、超豪華なジャズ・ミュージシャンを揃えるあたりもルシアナとラリーの本気度の高さがうかがえます。

ところで、僕が初めて彼女の歌声を聴いたのは、95年のジョージ・ガゾーンの傑作『 Alone 』(前項あり)でした。一曲だけですが≪ How Sensitive ≫で澄んだ透明感のある歌声を披露していたのです。その一曲で完全に彼女の魅力にとりつかれてしまった僕は、以来彼女を追っかけているのですが、02年のギターとのデュオ作品『 Brazilian Duos 』、03年のブレッド・ハーシュ、エドワード・サイモン、ブルース・バースらのピアノ・トリオをバックに歌った『 Norte E Sul ( North and South ) 』と並んで、本作も愛聴盤になること間違いなしの出来の良さだと感じました。

ただし、真摯なジャズ・ファンにはちょっとお勧めはできないかもしれません。むしろ、非ジャズ・ファンの方々に支持される可能性の方が高いかもしれません。なにしろ、先天性音楽受容体欠損症を患う我が愚妻が、「この人、バーシアみたいで素敵ね~」とか評していましたので。

Luciana Souza  『 The New Bossa Nova 』 2007年 Universal Music France / Verve 0602498485392

Down To You ( Joni Michell )  !!!
Never Die Young ( James Taylor )
Here It Is ( Leonard Cohen / Sharon Robinson )
When We Dance ( Sting )
Setellite ( Elliot Smith )
Where You Blind That Day ( Walter Becker / Donald Fagen )
Love Is For Strangers ( Walter Becker / Larry Klein )
You And The Girl ( Luciana Souza / Larry Klein )
Living Without You ( Randy Newman )
I Can Let Go Now ( Michael McDonald )
God Only Knows ( Braian Wilson / Tony Asher )
Waters Of March ( Antonio Carlos Jobim ) 

Lciana Souza の Official Web Site はこちら
  ≪ Here It Is ≫などの録音時ビデオ・クリップが見られます。


バカヤロという罵声が飛んできそうですが、前述のバティスタの新譜と並べて眺めると、俄然、バティスタの目線がイヤラしく見えてくるもんですね。