イタリア・ジャズ界が生んだ夭折の天才アルティスト,マッシモ・ウルバニの財産を今に受け継ぐステファノ・ディ・バティスタの待望の最新作『 Trouble Shootin’ 』。本作は彼のソロ作品としては6作目であり,仏Blue Note からの5作目になります。
「なんだかメンバーがかなり豪華なのです!」とはDisk Union の店員さんが書いたポップの賞賛句です。確かにラッセル・マーロン,エリック・ハーランド,バティスト・トロティニョン,そしてファブリツィオ・ボッソと,超豪華布陣ではあるのですが,僕はその「豪華」さよりも,むしろ,「レアな組み合わせ」に驚かされました。おそらくここに招集させられた5人はお互いがそれぞれ初対面だったのではないでしょうか,少なくとも録音ベースでは。バティスタとボッソの競演もありそうでなかったと思いますし(あったらお教えください)。
そして,アメリカ人のラッセル・マローンとエリック・ハーランドを加える事で,今までとは一風変わった作品に仕上がっているのですね。つまり,メンバーが欧州陣と米国陣の競演ならば,演奏曲もバティスタのオリジナルとケニー・バレル,ホレス・シルバー,ボビー・ティモンズらのファンキー・チューンの混成で,泥臭い中にも洗練されたイタリアン・ハード・バップの血脈が流れる,折衷美溢れる作品に仕上がっています。
さらには,バティスト・トロティニョンにハモンドB3を弾かせることで,全体にファンキー色が全面に表出した独特の世界感に溢れた作品となっています。楽器編成がオルガン,ギターの加わった2管フロントで,コテコテ・ファンキー・チューンを演奏されると,60年代末にルー・ドナルドソンがBlue Noteに残した作品群(たとえは,『 Hot Dog 』,『 Say It Loud 』,『 Everything I Play Is Funky 』などなど)を連想してしまいますが,それらよりはもちろんぐっと現代的で洗練されているのですが,今回,彼らが狙っているのは,そのあたりのソウル・ジャズではないのかと勘ぐってしまいそうです。
ただ少々残念なのが,トロティニョンのベースライン(左手)がどうしても本職でないので弱いのですね。録音レベルも低いせいもあるのですが,スイング感,グルーブ感が希薄なのです。通常,ジャズのオルガン奏者は左手でベースラインを弾きながら,左足で足鍵盤(ペダル)をスタカートで踏み,あのグルーブ感を出しているのですが,おそらくトロティニョンはペダルを使用していないのでしょうね。まあ,仕方ないことですが。
余談ですが,ジャズ・ファンの中には,オルガン奏者は足鍵盤でベースを弾いていると勘違いしている方がたまにいますが,それは間違いです。エレクトーン奏者は足でベースラインを弾いちゃいますけどね。
02年の前々作『 Round About Rome 』,04年の前作『 Parker’s Mood 』が個人的には今ひとつの出来具合だったので,今回はかなり期待していたのですが,はたして期待を裏切らないクオリティーの高い作品であったと思います。でも,一番好きなのは『 Volare 』ですけどね。
Stefano Di Battista 『 Trouble Shootin' 』2007年 Blue Note /EMI 5099950291120
Stefano Di Battista (as,ss)
Baptiste Trotignon (B3)
Eric Harland (ds)
Fabrizio Bosso (tp) 2,4,5,8,9,10
Russell Malone (g) 1,5,6,7,11
Nicola Stilo (fl) 3,6
Eric Lignini (p) 11
「なんだかメンバーがかなり豪華なのです!」とはDisk Union の店員さんが書いたポップの賞賛句です。確かにラッセル・マーロン,エリック・ハーランド,バティスト・トロティニョン,そしてファブリツィオ・ボッソと,超豪華布陣ではあるのですが,僕はその「豪華」さよりも,むしろ,「レアな組み合わせ」に驚かされました。おそらくここに招集させられた5人はお互いがそれぞれ初対面だったのではないでしょうか,少なくとも録音ベースでは。バティスタとボッソの競演もありそうでなかったと思いますし(あったらお教えください)。
そして,アメリカ人のラッセル・マローンとエリック・ハーランドを加える事で,今までとは一風変わった作品に仕上がっているのですね。つまり,メンバーが欧州陣と米国陣の競演ならば,演奏曲もバティスタのオリジナルとケニー・バレル,ホレス・シルバー,ボビー・ティモンズらのファンキー・チューンの混成で,泥臭い中にも洗練されたイタリアン・ハード・バップの血脈が流れる,折衷美溢れる作品に仕上がっています。
さらには,バティスト・トロティニョンにハモンドB3を弾かせることで,全体にファンキー色が全面に表出した独特の世界感に溢れた作品となっています。楽器編成がオルガン,ギターの加わった2管フロントで,コテコテ・ファンキー・チューンを演奏されると,60年代末にルー・ドナルドソンがBlue Noteに残した作品群(たとえは,『 Hot Dog 』,『 Say It Loud 』,『 Everything I Play Is Funky 』などなど)を連想してしまいますが,それらよりはもちろんぐっと現代的で洗練されているのですが,今回,彼らが狙っているのは,そのあたりのソウル・ジャズではないのかと勘ぐってしまいそうです。
ただ少々残念なのが,トロティニョンのベースライン(左手)がどうしても本職でないので弱いのですね。録音レベルも低いせいもあるのですが,スイング感,グルーブ感が希薄なのです。通常,ジャズのオルガン奏者は左手でベースラインを弾きながら,左足で足鍵盤(ペダル)をスタカートで踏み,あのグルーブ感を出しているのですが,おそらくトロティニョンはペダルを使用していないのでしょうね。まあ,仕方ないことですが。
余談ですが,ジャズ・ファンの中には,オルガン奏者は足鍵盤でベースを弾いていると勘違いしている方がたまにいますが,それは間違いです。エレクトーン奏者は足でベースラインを弾いちゃいますけどね。
02年の前々作『 Round About Rome 』,04年の前作『 Parker’s Mood 』が個人的には今ひとつの出来具合だったので,今回はかなり期待していたのですが,はたして期待を裏切らないクオリティーの高い作品であったと思います。でも,一番好きなのは『 Volare 』ですけどね。
Stefano Di Battista 『 Trouble Shootin' 』2007年 Blue Note /EMI 5099950291120
Stefano Di Battista (as,ss)
Baptiste Trotignon (B3)
Eric Harland (ds)
Fabrizio Bosso (tp) 2,4,5,8,9,10
Russell Malone (g) 1,5,6,7,11
Nicola Stilo (fl) 3,6
Eric Lignini (p) 11