Phil Woods 直系のスイス人アルティスト,George Robert (ジョルジュ・ロベール)が,長年の夢であった師匠のウッズと初の競演を果たした記念すべき1997年の作品『 The Summit 』(Mons)。フィル・ウッズ直系と言いましたが,むしろウッズ極似のスタイル,音色,フレーズで,ウッズの手癖,常套句までそっくりそのまま真似しちゃうほどウッズにゾッコンのジョルジュ・ロベールです。
そんな2人が競演しているものだから,ぼーと聴いているとどっちがどっちやら分からなくなってしまうほどです。よく聴くと若いはずのローベルの方が温度感が低くあっさりしている感じ。やっぱりウッズはいつでも熱い。
バックはケニー・バロン(p),レイ・ドラモンド(b),ビル・グッドウィン(ds)。ロベールは2002年にケニー・バロンと『 Peace 』(DIW)という傑作を世に送り出したその頃から日本でも名前が浸透してきたのではないでしょうか。それまでは国内盤もなく,Mons や TCB などにしかリーダー作が無かったため,数多くのミュージシャンと欧米を中心に世界を股にかけて活躍しているわりに,日本では知られていなかった感があります。
艶っぽい音色,フレーズの多彩さ,スピード感,適度なコンテポラリー感覚など技術的には申し分なく,本作でも5曲のオリジナルを披露していますが,どれも優れた楽曲(作曲までウッズ似!)で,僕も含めウッズ系が好きなファンにはたまらない存在です。
ですが,「そんなにウッズに極似ならウッズ聴いた方がましや」と思えなくもない。1960年生まれですからまだ40歳代半ば。ウッズ圏内から抜け出し自分の世界を築くのにまだ十分な時間があります。今後の活動の行方に期待したいミュージシャンです。
ジョルジュ・ロベールの Official HP はこちら。
Phil Woods & Gene Quil 『 Phil Talks With Quil 』1957年 Epic
これもウッズとクイルの区別がつかなかったな~。僕がウッズ・ファンになった記念すべき傑作アルバム。