義太夫節に親しむ会
【一谷嫩軍記】(いちのたにふたばぐんき)
熊谷陣屋の段
(前)豊竹睦大夫
鶴澤清馗
(後)豊竹希大夫
鶴澤清丈'
なにっ、熊谷陣屋を弾く!?
と知ってからは、まるで自分が出演するかのごとく丸暗記する勢いでCDを聞きましてねぇ
毎日通勤電車で、家で夕飯の仕度しながら、寝る前に、
とリピート&リピート、まさに義太夫スピードラーニング。
なぜ? と聞かれても、
…さぁ?
としか言えない、この意味不明なやる気。
当日も、きっとご出演者より誰よりどっきんどっきんしてアガっていたのはこの私だと断言していい程、ド緊張して挑みました。
うっかりホテルのスリッパで劇場に向かおうとしたくらい。
しかし、幕があがってみたらこれがどうして皆さん堂々と立派でねぇ
こちらはにわかスピードラーニングの成果か、あっ。とか、あかん! とか、ところどころ勝手にハラハラしつつ、
それでも、ほんとうに難しいこの曲を皆さんがそれぞれの力を精一杯発揮して挑んでいる姿には胸を打たれました。
特に睦さんの熊谷は立派だったなー
アトの希さんの「十六年もひと昔」も予想以上にしみじみと響きましたし。
清馗さんはあごの下からずっとポタポタ汗が滴っていて、しまいには手拭いで顔拭っておられましたし、清丈'さんの大音量の掛け声なんてお客さんがびくーーてするほどでした。
て、肝心の演奏のことも言えよ、って話ですけど。
もちろん、細かいことを言おうと思ったら
色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々…(そんなにか)
あろうかと思いますが、それでも技量・経験などの足りてない部分を補うだけのなにか、
聴く者の心を掴む「熱力」のようなものは確かにある。
と思いました。
思わず運動会で全力疾走して(たまにコケる)子どもを見るような気持ちで、めっちゃチカラ入れて聴いていたようで、終わってから膝がわらってガクガクでした。
ひと言も語っても、弾いてもいないくせに!
いやはやまったく、くたびれました・・・
勝手に盛り上がり、勝手に燃え尽きています。どうしてくれよう。
今回ご出演の皆さんが、いつか本舞台でこの難曲を演奏できる日が来ることを今から楽しみに待っています。
私が生きてる間にどうかよろしく頼みます。
そうそう時間残ってないよ、言っときますけど
いやぁ、実は、私は由良さまとご同輩で(う~ん、いつの間に...何故?どうして???)、熊谷(ん?もしやこの方もご同輩???)ではないですが、16年なんて、「あ」っという間だと生々しく実感しています。
私もそんなに時間は残されていないので、若手の皆様に「ひとつヨロシコ!」ということで、私の分も1票加えておいてください。
ほんとうに、御出演者は堂々たるものでしたのに、私がカチコチになってどうする、でした。
無・意・味!
私なんかもう浄瑠璃に登場するほとんどの人物より年上なんじゃないでしょうか。
じじばばに見えても40代、とかありますし。
さすがに白大夫よりは年下ですけど。
ですので若手の方々にはスピードを上げていただかないといけませんね。
私もさすがに白大夫までは、ちょいと時間がありますが、うかうかしたら、やすやすと「白大夫抜き」を果たすのは間違いないです。
まぁ、「白大夫抜き」は、個人的にはショックでしょうけど、今の若手がどこまで育っているかの見届ける楽しみもあるかもしれませんね~(といって、今から「白大夫抜きショック」に備えて心の準備中)。
私たちが白太夫を抜くころには技芸員さんもまた白太夫…
ひとりだけ先に年を取ることはないのです。
だんご状態で行けば白太夫抜きもこわくない!