● 人間の幸福 宮本 輝/[著] 幻冬舎
春の午後、ひとりの主婦が惨殺された。
難航する犯人捜査があらわにする人々の心の奥底にひそむ哀しみと、悦び。
心の迷宮をたどり、人生の願いを問う最新長編小説。
人間にとって幸福とは何なのか。
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★★★★☆
作者の取り上げる主人公の環境、ストーリーの展開は珍しいなぁ、と。
でも、一貫した作者の根底にある物の主題は変わっていないと思う。
ひとつの事件から複雑に絡み合う人間関係、
今まで気にとめていなかったそれぞれの心の内側。
影の部分をも肯定して、人間ってなんなんだと
考えさせられる一冊です。
● ハッカの薫る丘で 森 久美子/著 中央公論新社
1964年の東京オリンピックに未来を夢見つつ、北の大地で学んだ中学生たち。
卒業以来50年ぶりに開催される同窓会から、再び人生が動き始める。
『日本農業新聞』連載を改題、改稿して文庫化。
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★★★★☆
50年ぶりに出席した同窓会から主人公の人生が変わり始める。
中学時代のこころが動き始め
遅れた青春が躍動を始める。
よくありがちなストーリーですが
農業、地域興しをテーマに物語は進みます。
好感の持てる一冊。
● 星々たち 実業之日本社文庫 さ5-1 桜木 紫乃/著 実業之日本社
母とも娘とも生き別れ、昭和から平成へと移りゆく時代に北の大地を彷徨った、
塚本千春。その数奇な生と性、彼女とかかわった人々の哀歓を浮き彫りにする9つの物語。
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★★★★★
たまたま二度目の借り出しとなってしまったのだが
忘れていた部分もあり
やっぱり紫乃さんはいいなぁと。
道新夕刊で始まる連載が楽しみだ。
●天才 石原 慎太郎/著 幻冬舎
幼少期のコンプレックス、政界入りのきっかけ、角福戦争の内幕、
ロッキード事件の真相、田中派分裂の舞台裏、家族との軋轢…。
戦後日本の基盤を作り上げながら、
毀誉褒貶相半ばする田中角栄の汗と涙で彩られた生涯を描く。
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★★★★☆
一人称で淡々と綴られる角栄の生涯、なかなか面白く読ませてもらった。
ページが足りないのか表層をなぞっていくのが物足りなさを感じた。
もっとドロドロとした部分の、人間田中角栄を読んでみたかった。