月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ヌンキ・5

2014-12-09 06:50:48 | 詩集・瑠璃の籠

破壊の神は
おとなしい少女のようです
右手に日を 左手に月を持ち
絹のような髪に
ひとつぶの真珠を飾っている

世界を支えているのは
道端で拾った子猫のように小さく
弱く かわいらしい
ひとつぶの真心なのです

蛆のわいたかぼちゃのように
もうすでに世界は
内部から崩れ始めている
虹色の夢がガラス製の作り物だったことを
知ってはいたが
みんなの暗黙の了解のもと
本物だということにしていた
それでなければ もう何もなかったのです

人々よ
アトランティスの崩落とは
民主主義の自主崩壊のことです

幻の王国の夢は
二匹の黒い鼠が描いていた
もう先のない崖っぷちで
黒い鼠はまだ踊っている
自由の世界の神話を歌っている

お金さえたくさんあれば
夢も愛も作れると信じていた
特殊メークの技術さえあれば
聖者になれると思っていた

破壊の神は
おとなしい少女のようです
何も悪いことはしないのに
そこにいるだけで
すべてが消えてゆくのです




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