月の岩戸

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アルテルフ・26

2021-08-07 05:27:00 | 詩集・瑠璃の籠

自分らしく生きるのがいいと言って
気取って歩くその自分が
偽物であることに
おまえはいつ気づくのか

明るい神の道を
堂々と歩いているつもりで
本当ははてもない迷いの道を歩いている
その自分を
いつまで放っておくつもりなのか

おまえは
馬鹿なことをした自分を嫌がり
他のきれいな自分になろうとして
人の自分を盗み
それをかぶって生きているのだ
そして永遠に
自分のしたことから逃げるつもりなのだ

なりたい自分などというものは
結局はごまかしだ
本当の自分の現実から逃げ
嘘ばかりで生きていこうとする
その根性が汚いのに
おまえはいい自分になれたつもりで
日の下を堂々と歩く

もうやめよ
おまえを見降ろす神の瞳が
つめたく閉じかけている
凍り付くため息が
おまえのまわりを吹き抜ける

明るい神の道を
堂々と歩いているつもりで
おまえは延々と
深い奈落への道を
進んでいるのだ





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