月の岩戸

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アルデバラン・39

2018-02-05 04:14:22 | 詩集・瑠璃の籠

神がなぜ
このようにわたしをお創りになったのか
そんなことを考えても
何にもならないのだ

自己存在というものは
神が創ってくださったとおりの自分を
生きるしかない
それ以外のことをしようとすれば
果てしない苦しみの道が待っている

自分をいやがり
他人になりたいとのぞめば
他人から存在をすべて奪おうとし
それがために世界中に苦をばらまく
その反動をかぶり
自分があまりにも嫌なものになる
それが嫌で
まったく違う何者かになりたいと望み
すべてを奪おうとする

自分は
あらゆるものを奪ってよい
絶対権力者なのだと
思いたがるようになる
そしてそれは
神の創った麗しい世界を
果てしなく食い尽くし
破壊していこうとするのだ

馬鹿者の野望とは
自己存在のごく幼期に起こる
本当の自分から逃れるための
わがままなのである

どんなにこけおどしのレトリックを使おうとも
いつまでも人間をだませはしない
自らの暴虐を正当化するためには
もっとも美しい愛を
馬鹿なことだとせねばならない
だがそれをすれば
もう自分は自己存在とは言えないのだ

嘘ばかりつく自分を守るために
吹いてきた嘘が今
一斉に自分にふりかかってくる
それなのに
何もしてこなかった自分は何もできない

それが
神が創ってくださった自分を
いやだと言って生きてきた
馬鹿の末路なのである





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