月の岩戸

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メンカリナン・32

2022-04-15 05:03:50 | 詩集・瑠璃の籠

永遠に滅びない
自分だけの幸福を求めて
荒野をさまよっていた
あれはすべて夢だったのかと
目覚めたものは言う

ああ夢だったのだ
だが夢ではない

逃げることはできない
自分を影に貼り付け
それから逃げ去ろうともがいていた
おまえは同じことを繰り返し
暴虐の彼方に
永遠の楽土を見出そうとしていた

この世のどこかに
自分ではない自分という
矛盾を許してくれるところがあるはずだと
そこを目指して
おまえは同じところをぐるぐる回っていたのだ
まるで自分のしっぽを追いかけるかのように

目覚めたものよ
今振り返れば
それらの自分が
まるで自分ではないもののように
思えるだろう
そうとも
あれはおまえではなかった
だがおまえだったのだ

夢幻を脱ぎ捨て
本当の自分自身となったものよ
今のおまえに何が見える

迷いの日々になした
うずたかい罪の山を
清めてゆける自分自身がある

それこそが
永遠の楽土であったのだと
おまえはついに知ったのだ





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