なんとなくはじめました(つれづれなるままに)

日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくります。

柳家小三治師匠@盛岡 2007.2.18

2010年07月30日 12時25分39秒 | なんとなくの落語
昔、ミクシィにせっせと落語鑑賞記を書いていたことがありました。

ミクシィの日記だと、ジャンルごとにまとめられないこともあり、こちらに転記してみます。


古いものもあるので、ここに書かれていることは、現在の印象とは違っているかもしれませんが、まあ、そこはお許しを願って・・・。





本日、盛岡のおそば屋さん・東家が主催する「そば屋寄席新春特別会」に行ってきました。

東京近郊の独演会や落語会の回数には及びませんが、盛岡に住んでいて、有り難いのは、毎年この時期のこの落語会に、欠かさず小三治師匠が来てくださる、ということです。

チケットも比較的容易に入手でき、ちょっと早めに並ぶだけで、わずか3メートルの距離で小三治師匠の落語に接することが出来ます。

地方の小三治師匠ファンにはたまらない機会です。


今年は色物の出演者はおられず、オール落語。

出演者は以下の通りです。


①柳亭こみち 「やかん」


初めて見る演者です。二つ目、女性、美人です。
声もよく通り、上手いです。何度も高座にかけている噺なのでしょう。やかんの由来を語るご隠居が、やおら講釈師となり、講釈を始めるところも、見事でした。


②柳家はん治 「生簀の中の鯛」


新作ですね。料理屋の生簀に入れられた新入りの鯛と、開店以来、生簀から掬われず生き延びているという古参の鯛との話です。
話がおもしろいし、演じるはん治も、鯛の気持ちになって(?)見事に演じていました。今日一番笑った噺です。


③柳家〆治 「尻餅」


うーん。どうもテンポが悪くて話に入り込めませんでした。上手いんだけど、何か噺に乗り切れていない感じがしました。


④柳家小里ん 「黄金の大黒」


残念ながら最後のサゲまで行かず、途中で締めて高座を降りられました。
小里ん師匠、派手さはないけれど、いつもレベルの高い噺を聞かせてくれます。
もっとたっぷり聞きたかったのですが、お後の方にちと遠慮したんでしょうか。短くまとめてしまいました。


⑤柳家さん八 「辰巳の辻占」


がっかり。途中、花粉症なのでしょうか、鼻が出るのをさかんに気にしておられました。そのせいで、どうも噺が冗漫で、無駄な部分が多いように感じました。
鼻が出るいいわけを噺の中の人物に語らせるのですが、それもまた余計でしたね。


⑥柳家小三治 「芝浜」


短い「ま・く・ら」でした。

暖冬で、日本の土地土地が300キロ南に下ったような天候になっていること。
日本には「いろはにほへと」という美しい言葉があること。
教育の問題。

あまり脈絡のない話をしばし(ここで、観客の反応を見て、演る噺を決めようとしていたのかもしれません)。

昨年、盛岡で、柳家さん喬師匠の「芝浜」を聞いたので、比較しながら聞きました。

さん喬師匠よりと比べ、無駄を一切そぎ落とした「芝浜」という感じを受けました。

表現が難しいですね。さん喬師匠の「芝浜」が決して「無駄が多い」というわけではありません。

あくまでも夫婦に語らせることで、噺を構築していく、さん喬師匠。

かたや、小三治師匠は、ところどころ、演じながら噺を進めるのではなく、注釈を入れ、端折るところは端折り、噺の大事な部分を浮き彫りにさせていきます。

ただ、私自身は、さん喬師匠の「芝浜」と比べ、あまり噺に集中できませんでした(理由は後で触れます。ただ、噺の出来自体は素晴らしいもので、やはり小三治師匠は、小三治師匠でした)。


例年は、長い「ま・く・ら」とさらりとした噺(昨年は「一眼国」でした)、という感じで演じておられましたが、今年は久々の人情噺。

頻繁にお見受けするわけではありませんので、よくは存じませんが、久々に生で見る師匠は、体調がお悪いように見えました。

緞帳のない会場なので、以前はサゲの後、一言二言話しながら、お客さんの立ち上がるのを待って、高座を降りられたのですが、今年はサゲの後、すぐに楽屋へ戻っていかれました。

昨年9月に発売となった春風亭小朝師匠の本「いま、胎動する落語」でも、小朝師匠が、

「ベテランの師匠では、柳家小三治師匠もね、入船亭扇橋師匠もね、お体の調子、そんなにいいわけじゃないんですよね」

と話している個所があります。

噺の途中、師匠のお顔を見ながら、その言葉をふと思い出して、ちと心配になりました。

今回の「芝浜」は、体調が悪いので、「ま・く・ら」を短くしたい、という気持ちと、「それだとお客さんが納得しない」という気持ちから、演じられたものではないか、と考えるのは私の勝手な思い込みでしょうか?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昇太・花緑二人会 2007.1.21 | トップ | ビクター落語会 2007.4.28 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

なんとなくの落語」カテゴリの最新記事