なんとなくはじめました(つれづれなるままに)

日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくります。

立川志らくチャリティ落語会@岩手県公会堂  その2

2011年05月07日 08時50分53秒 | なんとなくの落語
続きです。


さて、中入り後、立川志らく師匠が高座へ上がります。

志らく師匠は、震災後、初めての盛岡入り。

噺が終わり、司会者の方とのやり取りで話していましたが、

「本当は被災地に行って落語をしたかったのですが、落語というのは、お客様とフィフティ・フィフティの関係なので、被災地に行っても、受け入れてもらえる環境が整わないと難しい。

(二つ目の三人を指して)あいつらレベルなら、お客さまのほうが上ですから別に行ったっていいんですけど(笑)・・・、

もう少し落ち着いたら、われわれレベルの者が行かなければ、と思います」


高座を降りることなく、二席続けて話します。


①「長短」

②「人情八百屋」


まくらでは、

「こんなことを言うと、『あいつは不謹慎だ』なんて言われますが、そもそも噺家というのは不謹慎な生き物で・・・(笑)」

会場のお客様は時に大笑いし、時に拍手を送り、志らく師匠のまくらに同調しておりました。


「福島の野菜が風評被害にあって売れないという・・・、

外国からも、日本の野菜が危ないというので、輸入禁止になっている・・・。

産地偽装して○○○(ある国です)へ売っちゃえばいいんですよ(笑)」

「今、なんとかしなきゃいけないのは相撲取りですよ、みんなで東北に行って、力が強いんだから瓦礫なんかどけたりして(笑)、

子どもと一緒に相撲とったりして負けてやればいいんですよ、

わざと負けるのは慣れてるんだから・・・(笑)」


さて、「長短」では、長さんがゆんべの晩に小便に行ったら空が・・・、というくだりで、

「なんだい、UFOでも見たのかい?」

と突っ込む短七っつぁん、

それを受けて、

未確認飛行物体の話からアポロが初めて月に行った時に月面に立てた星条旗が揺れていた、という話にまで発展させる長さん、

脱線したのはここまで、後は本筋に戻って、きっちりと演じておりました。


続いて「人情八百屋」。

「唐茄子屋政談」と似たような噺ですが、出てくるのは八百屋さん、その場ではなんの噺かわからず、後で調べて「人情八百屋」という噺だとわかりました。

談志師匠が高座にかけていた噺ということで、立川流ならではの人情噺でした。

以前はジェットコースター落語、と言われた志らく師匠の落語ですが、昨年、師匠の落語を久しぶりに見て、そのジェットコースターも早いばかりではなく、時折スピードを落とし、見せるべき景色はきちんと見せるようになったのかな、と思った次第です。

「人情八百屋」も、震災で辛い思いをしながらも、ともにがんばろうとする岩手へのオマージュとも思える温かい人情噺で、見ていて目頭が熱くなりました。


ほろりとしたところで閉演とはならず、最後にミッキー・カーチスさんに教わっている、というブルース・ハープの演奏を・・・。

「ふるさと」と岡八郎の「東京の青い空」の2曲を演奏しました。


新幹線が開通したというものの、そう簡単に噺家さんのスケジュールが調整できるわけでもなく、まだまだ岩手には落語という支援物資が不足しております(笑)。

そんな中、岩手、盛岡に縁を感じていただき、こんなにも早く落語会を催して下さった立川志らく師匠、並びに主催者のご尽力に一落語ファンとして、深く感謝申し上げます。


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