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Canon EOS-1とEF400mm F2.8LでBlueとThunderBrdsを追いかける日を夢見て

復習 PowerUnit

2016-04-24 17:41:20 | スポーツ

Formula1で2015年から採用されたパワーユニット(PU)について復習したついでに全体の構成図を描いてみました。

PUの基本的な構成はV6 1.6リットルのNAエンジン(ICE)にターボとMGU-K、MGU-H、ESを追加したものです。

詳細を簡単に説明すると。ターボは市販車でも使用している過給装置、MGU-KはかつてのKERSと同等に減速時に運動エネルギーを回収して発電する装置、MGU-Hはターボの回転軸に直結した発電機で熱エネルギーを回収する装置です(本当は別の役割も持ってますがそれは後ほど)。ESはバッテリーのことでMGU-K、MGU-Hで発電した電気をためておくことに使用します。

次にMGU-K、MGU-Hで発電した電気をどう使うかを説明します。まず、クルマを加速するときはESに蓄えた電気とMGU-Hで発電した電気をMGU-Kのモーターに与えて発生させた動力をICEのクランクシャフトに伝達することでICE単体で発生させた動力にMGU-Kの動力を加えます(この動作をアシストと呼びます)。このとき、ESから渡される電気の量には上限がありますがMGU-Hから渡される電気の量には上限がありません。また、かつてのKERSではドライバーがボタンをONすることでモーターからアシストを受けていましたがPUではこの辺りは自動化されています。また、ターボにはアクセルを踏み込んでからパワーが発生するまでにタイムラグが発生しますが、これを改善する目的でESから電気を貰ってMGU-Hのモーターを駆動することでターボを強制的に回転させてタイムラグを短縮させる事も行われます。

で、この仕組みを使って走るには何が必要なのか、って考えるとクルマの加速、減速、コーナーの立ち上がり全ての状態を検出する度にMGU-K、MGU-Hの動作を細かく切り替えていかないと立ちゆかなくなることはなんとなくご理解戴けると思います。また、MGU-K、MGU-Hは共に発電と動力の発生を同時に行えないのでホントにややこしい制御が必要になってきます。

排気音が静かすぎて醍醐味に欠ける、システムが複雑すぎて開発コストが高騰する等の問題点が指摘されているPUですが、ガソリンを燃やした時に発生するエネルギーを無駄なく回収してエネルギー効率を高めていくという考えで開発が進められています。これもF1の魅力の一つだと思います。