<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国は日本人にとって住みにくい国になる?Vol.3(環境編)

2014-02-10 | 中国社会学

少し間が空きましたが、今回はシリーズ第3弾。
おかげさまで今回のシリーズ、大変好評を得ているようです。
まあ、好き勝手なことを書いているだけなので、こんなのでいいのかな・・・と思ったりしますが、興味を持って頂ければ嬉しい限りです。
では、さっそく第2弾となる今回のテーマ、「環境編」へ。

中国の環境問題と言えば、日本で大々的に報じられているのは「PM2.5」ですね。
いわゆる大気汚染です。
一般的に環境問題、公害というと、大気・水質・土壌の3つが大きな要素と言えます。後ほど詳しく論じていきますが、この語順に従って分かりにくさの度合いが高まるという特徴がありますね。

まずは、大気汚染について。
日本では「PM2.5」ばかりが報じられるが、そもそも「PM2.5」は微粒子の大きさを表しているだけで、原因物質を正確に把握できていないところに大きな問題があることを忘れてはならない。
あの広い中国の各地でこの問題が発生しているところに、まさにこの問題の根深さがある。北の北京、東の上海、南の広州のそれぞれで同問題は深刻さを増しているが、各地の産業集積が異なるだけに原因物質も同一ではないはずだ。これは、中国政府は統一的な対策を打つということを阻んでいるとも考えられる。解決への道のりは容易ではなかろう。
このほかにも光化学スモッグの発生など大気汚染の問題は後を絶たない。

しかも、これだけ叩かれているのに、危機感の共有、有効策を講じるための抜本的な規制が出来ないところに現体制の苦しい状況が現れている。
要するに、国がデカすぎるだけに、こうした問題に体系立ててキチンと対処するのが苦手なんですね、ハッキリ言って。世界の空は繋がっているので、ちゃんとしてくれない隣国のせいで、日本国民の健康が脅かされるっていうのは、何ともやりにれない気持ちになりますね。何とかしてほしいもんです。

ただ、もう少し歴史を長くとると、日本の高度経済成長期にも公害問題が続々と発生したワケで、とりわけ当時発生した大気汚染は農業国だった中国に対しても多かれ少なかれ影響を与えていた可能性は否定できない。
そう考えると、お互い様なのかも知れませんが。。。


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続いて、2番目は水質汚染。
この問題も結構根深い問題ですね。
ほんの10年前、中国では4つ星以上の高級ホテルですら、客室内の浴槽に水を溜めると水の色が黄色く見えるというのが一般的だった。当時から「沸かせば飲める」とは言われていたが、現代日本人でこんな色つきの水を飲もうと思う人は少数派に違いない。しかも、シャワーの水量も十分とは言えなかった。

そんな水事情も経済成長とともに表面上は一変した感がある。
一定規模以上の都市であれば、ホテル客室内の蛇口からは水が勢いよく出るし、見た目だけで言えば水の色は十分に透明である。ただし、あくまで「見た目」に過ぎないなのだ。

上海などの長江流域では、水はかなり確保されているが、流域に沿って工業が発達したため、工場排水による汚染が慢性化している。とりわけ上流にいくに従って旧来型の工場が集積していることもあって、そこからの汚染物質の排水は後を絶たない。悪い言い方をすると上流から下流のほとんどが汚染されているとも考えられるのだ。

その一方、北京などの北部については水の絶対量が不足している。このため、将来の水源となるはずの地下水に頼っているのが現状だ。しかし、その地下水も重金属などで汚染されているという噂が絶えず、安心して飲用できる原水の調達など望めないという事情がある。

もっとも、こうした事情を抱えながらも、冒頭にご紹介したとおり、見た目だけで言えば中国の水事情は格段によくなっている。これは経済発展によってインフラ整備が進み、汚い水をキレイに見せかける技術が多数導入されたことでもたらされたと言える。短期的にはこれでハッピーかも知れないが、とても持続可能な仕組みではないことは一目瞭然である。
日本では1970年代に各地で公害訴訟が提起されたことで、社会全体が公害への意識を高めることになり、これが企業の環境意識を高めされることに繋がった。中国は一党独裁かつ司法制度不備という特徴を有しているだけに、社会全体でどのような解決の道を模索するのか、真剣に検討すべき時期に来ていると言えるだろう。


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最後に、土壌汚染。
これはもう、なかなか手がつけられないですね。
だって、土ほど見た目で区別が付きにくいものはないですもんね、明らかに臭い、変色しているといった特徴があれば別ですが。。。
特に化学工場の跡地などで何年も放置されているような土地などでは、それを判別することは極めて難しいに違いない。
ただ、中国の都市開発を考えるうえで、こうした工場跡地をいかに有効に活用していくかは大きなテーマとなりつつある。なぜなら、人口数百万人といった規模の都市では、すでに都心にまとまった土地を確保することが困難になっており、土壌汚染の疑いがある土地は都心に残されている場合が多く、うまくすれば「金のなる木」に転換できるからである。つい20年前まで発展途上国の典型だった中国においても、いわゆる二次開発が必要な時代を迎えているのだ。

ただ、具体的に土壌汚染を解消するのは容易ではない。
日本や欧米は「土地私有制」が原則だが、中国は「土地公有制」で基本的な理念が全く異なる。私有制であれば、土壌汚染も排出者責任をベースに処理することが可能だが、公有制となると、土地は政府の所有物ということになり、大げさに言うとこれは人民全体の財産となる。汚染処理の完了に関しても、政府がお墨付きを与えることが必要となるが、人民の権利意識が高まる中で「確実な処理」というものをどのように担保するのか、前例のない取り組みが必要となるだろう。
加えて、そもそも土地を汚染した排出元が国有企業(平たく言えば、以前は政府)というケースも少なくない。汚染結果を公表したとたんに、周辺住民が騒ぎ出す・・・なんて事態も想定される。

どの問題も根が深いですね。道のりは長そうです。。。

こうした状況下、現地で暮らす日本人はどのように対応すればいいのだろうか?
うーん・・・残念ながら決定打はないんですよね。だって、全体がかなり汚染されていますし、こちら側には解決に関わる権限がありませんから。
よって、個々人でしっかり対処するということが一番か・・・と。

大気、水質、土壌のどれをとっても、健康への被害は目に見えない形でゆっくりと進行する。たかが数年の駐在と言えども、後々の疾病発生に繋がる可能性も否定できないだけに注意が必要だ。
無論、広い中国ではあまり神経質になり過ぎても生活が窮屈になるだけだ。
したがって、大気に関しては、汚染が激しいと思われる日は極力外出を避ける、日本製のマスクを着用する等、水質に関しては、性能の保証された浄水器を利用する、土壌に関しては、農作物への影響が最も懸念されるため、極力「有機」と表示された悩殺もつを購入するようにする等、消費者自身が身を守る心がけが重要であろう。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-03-12 14:41:23
>悩殺もつ
農作物ですね。
記事参考になりました!
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