前回に引き続き、今回も高齢者ビジネスがテーマ。
今回は、今年5月に開催された高齢者ビジネス関連の展示会の様子を参考にしながら、考察を進めていきたい。
まずは、その展示会の紹介から。
「第1回中国国際養老サービス業博覧会」という名称。
この「第1回」というところにも、新しいビジネスという色合いが見えますよね。
今回、中国政府や上海市の民政部が主催団体の一角を占めていることからも、政府機関のやる気が感じられるというもの。
まずは、入口で入場登録を済ませます。
入場証はこんな感じ。
余談ですが、この展示会では来場登録すると、すぐに名刺をスキャンしてリスト化していました。
日本より発達してるかも・・・。
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会場に入ると、中央のかなり良い場所に日本企業関連のブースがある。
しかも、そのうちのかなりの部分がニチイ(中国では「日医福利器具貿易」)のブース。
もっとも、このブース内に各種企業が出展するというスタイルなので、純粋な忌みでのニチイブースではないのですが。
その一例をご紹介すると・・・
介護用ベッドや車椅子、紙おむつ等々。
ほかにも、バレーボール等でお馴染みのモルテン、パナソニックなどが出展。
中小企業用のブースも設置されていましたね。
他国からの出展で言うと、ドイツや米国ではインテルなどが出展。
インテルの出展は少し意外でしたが、考えてみれば、この分野もITを駆使する必要がありますからね。さすが、先駆的な企業は違います。
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もっとも、こうしたゾーンを除くと、大部分は中国国内企業等のブース。
とりわけ、地方政府のブースの大きさが際立っていましたね。
鎮レベル(日本で言うと、村)なら分かるが、北京はどう考えても高齢者に優しい街ではないと思うが。。。
筆者が最も興味深かったのは、ある企業のブース。
ここでは、「長者生活体験館」という名前で、生活支援用具等が多彩に設置された部屋が再現されていた。
来場者の関心も高かったようです。
実際の設置や運用という面は分かりませんが、少なくとも提案レベルでは日本に近づいていることが分かる。
中国のキャッチアップの速さ、タダごとではないですから。。。
今回の展示会をみての率直な感想は、「サービス業展示会」という名目にも関わらず、やっぱり機器、設備の展示のほうが多いという現状。
ココは、ある意味では中国の現状を如実に表しているとも言える。
こうした高齢者に対するサービスは、やはり社会システムの裏づけがないと拡がりが確保できないという面があり、富裕者層を相手にすることに集中しても、大きな経済メリットは享受しにくいからだろう。
中国で高齢者ビジネスを検討する実業家は、こぞって日本のビジネスを参考しようと日本に視察に出向くが、実際に施設を見学すると、中国社会とマッチしないということに気付かされる。
日本の施設に入居する高齢者は、施設内プログラムの一環として集会所などに集まってグループ活動を行ったりするが、基本的に動きが少なく、部屋でテレビを見ることを好む傾向にある。
これは、高齢者になったと言えど、中国の高齢者とは正反対の行動パターンである。
勿論、日本の高齢者ビジネスの優位点は、こうした施設管理面にとどまらない。
要は、日本と中国の「老いの文化」の違いを十分に理解した上で、どの部分に力点を置いて、中国の需要に応えていくか、が重要となってくるだろう。
製造業に見受けられがちな「日本の製品・サービスは、世界でもトップクラス」という、一種の「上から目線」で相手に臨むのでは、したたかな中国社会で受入れられることは難しいと考えられる。
そういう意味では、日本がここ20年ほどかけて築き上げてきた高齢者介護の仕組みを丸ごと輸出するくらいの意気込みがあってもいいのでは・・・と筆者は考えている。
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