伯父の三回忌

高倉健さんがお亡くなりになった。

ご冥福をお祈りします。

今後、健さんの追悼番組で映画などが放送されると思うけど

観れる範囲で観ていきたい。

観てない映画いっぱいあるからね。



今日、母の４番目の兄の三回忌だ。

母の兄弟はみんな温厚な性格だが

この４番目の兄だけはチンピラ気質で他の兄弟とは一線を画していた。

何度も警察の世話になっていた（らしい）

そんなやんちゃな伯父だが、

すごく気立てのいい奥さんをもらった。

伯父のＤＶに耐え抜いた。

でも、その伯母はいつも笑顔だった。楽天的なのがよかった。

コロコロと笑いながら伯父の非道を語っていた。

そんな伯父の職業はテキ屋だった。

神社の参道なんかで鯛焼きを焼いて売っていた。

伯母の支えもあり、仕事はしっかりこなしていた。

私達は正月になると京都の八坂神社と伏見稲荷神社をハシゴした。

と言うのは、それぞれの参道で伯父と伯母が

鯛焼きを焼いていたから。


６０才を過ぎて伯父は体を壊し

テキ屋を辞めた。

その後、かなり酒に溺れたようだ。

私の実家にしょっちゅう、ろれつの回らない声で電話がかかってきた。

私も何度か出てしまい、相手をしたことがある。


２年前、伯父が亡くなったと言う一報が入った。

一週間前に母の３番目の兄が亡くなったばかりだと言うのに。

私は店があるので通夜も葬式も参列できなかった。

後日、お線香を上げに出向いた。

その時、はじめて知った。

伯父は自死だった。

伯母が「ここで首を吊ってたんよ」と

二階の寝室を案内してくれた。

病気を苦にしてたらしい。

やんちゃな伯父らしくない最期だ。


さて、伯母からはそれからの処理がいかに大変かを

物語ってくれた。

まず、パトカー４台つれて警察が家にやって来た。

持っている通帳を全部取り上げられる。

町内会が騒然となる。

伯母は密葬にしたかったが、

町内会が伯父の死を知ることとなり、

意に反して盛大なお葬式になってしまった。

葬儀代は３００万円。

しかし、現金がない。

通帳・カードは警察が預かっている。

１０万２０万とすぐ必要なのにお金が引き出せない。


本当に自死と言うのは、遺族にとっては大変だ。

おまけに掛けていた生命保険。

自死の場合、７年以上掛けていないと下りないものだった。

掛け始めて５年だったと言う。

外資系の保険会社は要注意だ。


そんなこんなで、伯父は生きているときも

死んでからも伯母を苦しめた。



・・・と、私はつい最近までそう思っていた。

でも、もしかしたら・・・と疑問がわいてきた。


伯父は病気がひどくなり、立つことも歩くことも

ままならなかったと聞く。

早晩、寝たきりになっていたろう。

そうなると、家族に迷惑がかかる。

これ以上伯母に迷惑をかけたくなかったのではないか。

伯父は過去に２度首を吊ったらしい。

三番目の兄が亡くなったときに

伯父は決心したに違いない。今度こそ・・・と。


今年、母の一番目の兄の葬式のときに

伯母は清々しい顔をしていた。

１才ほどの孫を抱いていた。

息子夫婦が近所に住んでいる。


やんちゃな伯父が遺したもの。

それは平穏な日々なんだね。

今は天国からやさしいまなざしで

伯母たち家族を見守っているんだろうね。