(省エネ)(写真はゲットウの花が生まれるところ)
掃除機をかけ、食器類を元の位置に戻す。
足りないものをメモして、ガスの元栓を閉めた。
(アメリカンブルー)
出窓に腰かけ、最後のコーヒーを飲みながら、部屋を眺める。
こなれた動作、しまい方、時間までゆっくりここ8日間の日々を振り返る。
さざ波のような充実感に満たされる。よくやったよな・・・。
回を増すごとになじんでくる私だけの空間をそっと抱きとめる。
(タイミングが合わなくてなかなか食せない桃)
コーヒーを飲み終えると、もう一度室内を点検して また来るねと言いながら
玄関の鍵を閉めた。
(古い桃の木を整理した時、一部が破損した。そこ気をつけて、とまでは言えなかった)
最終便に乗り、久しぶりに灯りの町へ舞い降りていく。
途中、陽が落ちた後の深い赤のラインと群青色、青空を楽しめた。
(八重クチナシは、根元から取り巻いていたヒメイタビを除いてから、たくさん花をつけるようになった。)
もういつかのように悲観したりしない、ふと、まだ生きていたいと思った。
気持ちが生に向かうことはついぞやなかった、と思う。
(ハンダマの花にリュウキュウアサギマダラ。この花が臭いが、蝶はきっと好きな匂いなんだろうね。)
ガッという音を立てて、飛行機は地面に着いた。
(畑に君臨していたセロリは花を咲かせるとすっかり消えていた。夏の日照りは畑を焼きつくしていた。)
帰りの高速に乗り、PAでお茶を飲む。見上げると美しい月だ。
今日は十五夜なんだから 見ている人も多いだろうな。
そうだ、写真を撮ろう、少しピンボケの まあるい月をカメラに収めた。
(園芸種のツルウリクサ、草藪の中でいつもより元気だった。この手だね。これからはほっとくよ。)
車を走らせながら 島から街へと変態してゆく。流れてゆく光、連続する車の流れ、
少しづつ町に同化してゆく。それでもまだ私の眼は野生の動物のようだ。
まるで擬態化するようなこの経過過程と時間が好きだ。じわじわくる。
(アオノクマタケランはデリケートだ、もっと日陰を作らねば、絶えてしまう。)
今日は やっぱり疲れている。
コーヒーを淹れてみよう。あれは、つい昨日のことだが、今、どんな味がして何を思うだろう。
んん、いいかもしれない。