クリンショート・ショート vol・1
~「魔の森」~
<こった川サミット>
クリンは、いつものように月に一回行われる「こった川のサミット」に出かけた。
メンバーは、人間代表のクリンに、ペット代表の猫のミーちゃん、鳥代表の、雀のチュンチュンとチッチッとチェッチェッとチョッチョッだ。
「何か問題や事件は、起きてますか?ニャー」ミーちゃんがアクビをしながら言った。
「チットが、万歳屋のキャベツが安いと言っていたぐらいで、特に問題ナシ!」
クリンは、元気に答えて、雀たちの方を見た。
雀たちは、ひそひそ話してチュンチュンが代表して話し始めた。
「じつは、こったの森で連続失踪事件が起きてます。チュンチュン!」
クリンとミーちゃんはびっくりして、緊張の表情を浮かべた。
多摩センターの開発が終わって、沢山のタヌキが山を追われて以来、
数々の試練を乗り越えて、今ようやく多摩は平和を取り戻し、動物や昆虫たちは、仲良く暮らしていた。
クリンたちにとっては、初めての大事件である。
「バッタのバタバタや蝶のアゲハちゃん、それに毛虫のモジモジまで、いなくなっちゃったんだ。突然!」
「仲間に聞いてもみんな知らないって言う。でも、目撃情報では、いずれも同じような場所で、半径50メートルくらいの地域の中で起きているんだ。チュンチュン。」
「神隠し?」クリンが眉根を寄せて、たずねた。
「とにかく、事件は現場で起きている。明日現場に行ってみましょう。みんな!明日の朝、10時にこったの森の入口で待ち合わせましょう。」
ミーちゃんは、ニャオー!とないて、締めくくった。
(つづく)
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