クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・17(『破船』吉村昭)

2021-02-04 | 本と雑誌

海に面した・地方

ぶたい(舞台)の、

うすらさむい小説を もうひとつ・・


 『破船』です。


書いたのは、

昭和の歴史小説家、よしむらあきら(吉村昭


 あっさりした・ひっち(筆致)に 反して、

かなり

調べあげて書くのが 習かん(慣)だった

作家さんが 取り上げている

のだから、

(この話は、史実なのだろう、、)

と 

かくご(覚悟)して・読まなければ ならないのですが・・

この小説に描かれる・漁村、怖いです。。

 

<あらすじ>


 江戸時代の、
とある・まずしい、漁村・・

 

村人たちは

生活をきりつめ、

出かせぎで、食いつないでいました。

そんな 彼らには、

時々、

ものすごい 天からの恵みが、もたらされることが あります


 おふねさま(お船様)です

 

冬の・・

海が荒れる夜に、

お船さまは

米や、さとう(砂糖)、日用品を 運んで村に来てくれる・・

 

どこから来てくれるのか?

というと、

沖から 来てくれます。


 村人が、浜で焚く火

おびきよせられて、、


実は、この村

あらし(嵐)で 困っている船を 

わざと近づけては

「座礁」させ

船の つみ(積み)荷を うばっていたのです

 


 もちろん・・、乗組員は、
みな殺し。

しょうこ(証拠)は 

バラシて

みんなで、いんぺい(隠蔽)・・

 

そうやって 生き延びるのが、当たり前の村なのでした・・。

 物語は、主人公の少年が、

「お船さま呼び寄せの儀式」

を 

知るところから はじまるのですが・・

 



この本、4分の3くらい・読むと

いきなり、

どんでん返しが はじまります

 それは・・ある年、またも

到来したお船さまに、

村人たちが タカって行ったら

その船が、

なんと 

村に「疫病」を まきちらす

もがさ船(痘瘡に罹った病人を補陀落渡海させる船)」

だった

という、

大・どんでん返しです、、



(・・・え、えげつねぇ~~~~

 

(※ネタバレはここまで そのあと村がどうなったのか?は、クリン知ってるけど、教えません

 

・・・・・

 

日本って、

ほんの何世代か前までは、

こういう土俗的な集落が、けっこう・あったんだろうなあ・・

と、

現代人の いでんし(遺伝子)に

ゆさぶりを かけてくるような

小説。。



でもって

「新型コロナウィルス」に、むしばまれる

今の時代にも 

教訓を与える

お話なのでした。。

 





おすすめ度:いまならでは 

 

 

(次回、「雪の日に読む小説特集」は『芙蓉の人』(新田次郎)を取り上げます 実話にもとづく夫婦の山岳小説です

 

コメント (10)
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